大リーグ機構(MLB)のロブ・マンフレッドコミッショナー(66)が、ポスティングシステムを利用してメジャー移籍を目指すロッテ・佐々木朗希投手(23)について、2025年の国際ボーナスプールの枠内で契約することを期待していると述べたと、ESPNのホルヘ・カスティーヨ記者が20日(日本時間21日)に自身のXに投稿した。
カスティーヨ記者は自身のXで「ロブ・マンフレッド氏は、佐々木朗希選手が2025年の国際選手契約メンバーの一員としてメジャーリーグのチームと契約することを予想していると述べた。つまり、佐々木選手は1月15日より前に契約しないことになる」とつづった。
また、オーナー会議が行われている米ニューヨークで取材に応じ、「各球団のGMの中にはドジャースと佐々木選手の間に暗黙の合意があるのではないかとの懸念がある。彼らの国際ボーナスプールの額がゆえにそう見えてしまう」との質問を受けた。これについて、マンフレッドコミッショナーは「私のメディアトレーニングでは疑惑に関わる質問には決して答えないようにと言われているので、答えを避けられるのだが、1つだけ明確にしておきたい。新しいボーナスプールの期間に契約のタイミングが来そうに見える。これはかなり重要なことになるのだろう。しかし、何が起こるか見守るつもり。私たちの規則の1つに違反したと信じる理由があれば、徹底的に調査し、真相を突き止めようとするので安心してほしい」と話した。
ポスティングシステムでは、公示から45日間の交渉期間が与えられ、23歳の佐々木には、MLBドラフトの対象となる米国、カナダ、メキシコ以外のアマチュア選手獲得に関する「25歳ルール」が適用される。国際選手の契約期間は例年1月15日から12月15日まで。各球団は割り当てられたボーナスプールの中で、複数の選手と契約を結ぶ。
現時点で2024年の国際ボーナスプールで最も多くの資金を残しているのはドジャース(250万2500ドル=約3億8788万円)とオリオールズ(214万7300ドル=約3億3283万円)。契約金も大谷翔平が2017年のオフにエンゼルスとサインした時(契約金231万5000ドル=当時約2億6000万円)のように、国際ボーナスプール内に制限される。今年は既に11月であるため、大部分のチームはボーナスプールの大部分を使い切っており、残額は限られている。
大リーグ公式サイトは、マンフレッドコミッショナーのこれらの発言を伝えるとともに、全30球団の来年のプール金額を紹介。最大のプール金額(755万5500ドル=約11億7110万円)はマリナーズやレイズ、レッズ、タイガース、マーリンズ、ブルワーズ、ツインズ、アスレチックスの8球団が持っている。2番目の690万8600ドル(約10億7083万円)はダイヤモンドバックス、オリオールズ、ガーディアンズ、ロッキーズ、ロイヤルズ、パイレーツの6球団。3番目の626万1600ドル(約9億7054万円)はブレーブス、レッドソックス、カブス、ホワイトソックス、エンゼルス、メッツ、ヤンキース、フィリーズ、パドレス、レンジャーズ、ブルージェイズ、ナショナルズの12球団。4番目の564万6200ドル(約8億7516万円)はアストロズとカージナルスの2球団。最少はドジャースとジャイアンツの514万6200ドル(約7億9766万円)の2球団とした。
佐々木の移籍が最有力とされるドジャースが佐々木獲得に向けてしたたかに国際ボーナスプールを残していたとの見方もある。それだけに、マンフレッドコミッショナーの今回の発言は、国際ボーナスプールの枠がリセットされる2025年に持ち越すことで各球団の公平な競争が生まれることを予想しているとみられる。契約金額が増えることは、ロッテへの譲渡金が増えることにもなり、佐々木サイドにとってもプラスとなる。