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「大腿骨骨折」予防 「ぬ」「か」「づけ」にご用心 認知症、うつにつながる「寝たきり」にならないために

スポニチアネックス 2024年11月22日 5時2分

 【生島ヒロシ オヤジの処方箋】芸能界一、健康に詳しいアナウンサー生島ヒロシ(73)が、シニアに向けて元気に生きる方法を指南する連載「誰も教えてくれなかった“老いるショック”脱出術 オヤジの処方箋」。今回は、高齢者には寝たきりの生活につながる「大腿骨骨折」についてです。

 こんにちは、生島ヒロシです。一気に寒くなって、北海道や東北からは積雪のニュースも届いています。雪じゃなくて雨でも、冷え込む朝は路面が凍結する季節になりました。転倒して大腿骨を骨折したという話はよく聞きます。もちろん、危険な場所は凍結路面だけではありません。今日は大腿骨骨折の注意点、予防法を、医学博士で柔道整復師、麹町白石接骨院(東京都千代田区)の白石洋介院長に伺います。

 白石先生、高齢者の4大骨折というのがあると聞きました。脊椎の圧迫骨折、腕の骨を折る橈骨(とうこつ)遠位端骨折、肩の骨を折る上腕骨近位端骨折、それに太腿の骨の大腿骨骨折。このうち、大腿骨骨折が多いらしいですね。

 「多いです。大腿骨骨折は主に2種類に分けられます。骨盤につながっている骨頭という部分の下のくびれている箇所が折れる大腿骨頸部(けいぶ)骨折と、その下の部分が折れる大腿骨転子部骨折。特に頸部骨折の方が多いです」

 骨折したらどんな処置を施すんですか?ギプスですか?

 「大腿骨頸部骨折は、さらに内側型と外側型に分かれ、多いのは内側型。液体で満たされた関節包と呼ばれる膜の中で起きるのが内側型です。患部が液体の中なので、血管を通しての栄養がなかなか届かず、骨壊死(えし)を起こしがちです。そのため、人工関節に置き換える手術が必須になります」

 人工関節を入れているという話、よく聞きます。

 「一日も早い手術が推奨されます。高齢者は2週間寝ていると肺炎を患う傾向があるので、早く起き上がるようにしないといけない。術後5日ほどで歩行器を使って歩くリハビリを始めるほどです」

 大腿骨骨折を起こしやすいのは、どんな人ですか?

 「男性よりも女性が多く、女性は50歳代になると増えてきます。閉経後、骨粗しょう症になりやすいからです。男性は糖尿病、腎臓疾患などの基礎疾患がある方は要注意です。糖尿病は血管がもろくなるので、骨に栄養が行き渡らず、骨が弱くなります。また腎臓が悪いとビタミンDの働きが阻害され、カルシウムが体に供給されにくくなり、骨にダメージを与えます」

 高齢者が転倒しやすい場所として「ぬかづけ」と覚えるといいようです。「ぬ」は濡れている場所。風呂場、台所、雨の後のマンホールの上、葉っぱなどが落ちているスーパーの野菜売り場の床など。「か」は階段などの段差。玄関、敷居、お店の入り口、歩道と車道の境、コンクリートの車止めなど。あとカーペットなど敷物の端、これが意外と多いんだそうです。「づけ」は片づけ。家の床に散らかった新聞や雑誌、ティッシュペーパーの箱、電気ポットなど。歩くとき邪魔にならないよう片づけておく。これからはコタツなどのコードも要注意。特につまずきやすいそうです。コードは壁面に沿ってはわせて、必要ならテープで固定しましょう。ちょっとした段差、障害物が怖いんですね。

 「1センチの段差でも転倒します。転倒するのは、歩くときに爪先が上がっていないからです。転倒防止用に、爪先が1センチほど上を向いているスリッパやサンダル、靴が市販されています。これらを履くことで、転倒する確率がかなり低くなります」

 爪先が上がった履き物、いいですね。大腿骨骨折予防の運動はありますか?

 「6つ紹介します。どれも脚の筋力をつける運動です。立ち上がる運動は、テーブルや椅子の背もたれにつかまるか、介助者に手を持ってもらってやってください。この6つを朝晩1回ずつやることを目標にしてください」

 テレビを見ながらでもできるものばかり。イラストを参考に、皆さんもトライしてください。骨のためには食事も大事ですよね。

 「昔の日本の食事がいいですね。特にカルシウムが豊富なシジミの味噌汁をお薦めします。日光浴も忘れないでください。体内で、カルシウムの吸収を高めるビタミンDを合成するためです。1日20分、日光を浴びれば効果が期待できます」

 ある程度の年齢になったら、つえを使うことも考えた方がいいでしょうか。

 「つえは早くから使う癖を付けた方がいいですね。年寄りに見えると敬遠される方もいますが、転倒すれば寝たきりになることもあるわけですから」

 まさに、転ばぬ先のつえ、ですね!高齢者は寝たきりになれば、認知症、うつになることも多いです。転倒予防の運動、履き物、つえ。できることから、やっていきましょう。

 ◇生島 ヒロシ(いくしま・ひろし)1950年(昭25)12月24日生まれ、宮城県出身の73歳。米カリフォルニア州立大ロングビーチ校ジャーナリズム科卒業後、76年にTBS入社。89年に退社し、生島企画室を設立。TBSラジオ「生島ヒロシのおはよう定食・一直線」(月~金曜前5・00)は、98年から続く長寿番組。健康に関する名物コーナーに登場する名医たちとの親交から、芸能界きっての健康通。元為替ディーラーで経済評論家の岩本さゆみ氏との共著「日本経済 本当はどうなってる?」(青春出版社)が販売中。

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