阪神・藤川球児監督(44)が21日、国内FA権を行使した大山の決断を、黙して待つことを改めて強調した。この日、大山らとともにタイガース杯ゴルフに参加。「彼が人生の岐路に立っていることは間違いない。気持ちを尊重するところになる」と悩める主砲に理解を示した。
「今の大山や原口に関しては(FAで)手を挙げている状態。評価を聞いてみたかったり、短い野球人生の中で、のところ。本当にそっと見守るしかない。親のような気持ちかもしれないですね」
グリーン上で直接口説くことなど、もってのほか。13日に国内FA権の行使を発表した時と何ら変わることなく、虎将は静観の姿勢を貫いている。対抗の巨人からは、阪神を上回る好条件が提示された…などといった新聞報道も耳に届く。「どこまで真意か分からない」と藤川監督も苦笑いだが、主砲のもとには大型契約を掲げる宿敵からの強烈なラブコールが届いているであろうことは想像に難くない。それでも動じない。揺れ動くその心中を察し、遠くはない決断の時を待つ。
「凄く気持ちは分かる。僕自身もアメリカに行っている。(大山は)国内ということで少し違うかもしれないけど、これ以上は僕たちが立ち入ってはいけないゾーンにいる」
自身も12年オフに海外FA権を行使し、海を渡った経験を持つ。とことん悩み、結論を出したあの頃の自分と大山を重ね合わせ、指揮官は丁寧に言葉をつむいだ。打線のド真ん中を張る29歳。仮に移籍となれば来季構想を大きく左右する中でも「本当にプロの世界を分かっている側からしたら、それが誰の持ち物なのか、分かっていないといけない」とサラリ。執着も諦観もせず時の流れに身を任せる。男に二言はない。黙って朗報を待つのみだ。(八木 勇磨)