◇明治神宮野球大会 横浜2-0明徳義塾(2024年11月21日 神宮)
高校で準々決勝2試合、大学で1回戦1試合と準々決勝1試合が行われた。高校の部では関東大会を制した横浜(神奈川)の最速151キロ右腕・織田翔希投手(1年)が2安打6三振で同校では大会初の完封勝利を飾り、2―0で明徳義塾(高知)を下した。大学の部では環太平洋大が準々決勝へ、天理大が準決勝へ駒を進めた。
「YOKOHAMA」の新怪物候補が鮮烈な全国デビューを飾った。1年生右腕・織田が2安打6三振で完封。2年秋に出場したOBの松坂大輔氏でも果たせなかった同校初の完封勝利に「堂々と自信満々に自分が決めたボールを投げられた」と大きく胸を張った。
冷たい雨が顔を叩く悪条件で別格だった。「良い状態ではなかった」としながら最速145キロをマークした直球、100キロ台のカーブなど自在に操った。待球作戦を遂行した明徳義塾に対し、9回に143キロを投げるなど126球の熱投。名門同士の一戦を制し「体力は全然大丈夫」と涼しい顔だった。
北九州市出身で、足立中では軟式野球部に所属。横浜への進学を決心したのは中3の8月と有力選手にしては遅かった。地元と家族から離れての寮生活に不安もあったが、最後には「松坂さんみたいな選手になりたい」と怪物の足跡をたどることを決めた。
1年春からベンチ入りし、今秋は主戦投手として関東大会制覇に導き、来春の選抜出場を確実にした。3年春夏の甲子園を連覇し「平成の怪物」と称された松坂氏にも負けない早さで実績を積み重ねる背番号10。「奥村(頼人)さんが後ろにいてくれることで安心」と登板に備えていた2年生エースへの感謝も謙虚に忘れなかった。
中1日で迎える23日の準決勝へ「次もしっかり投げきりたい」。松坂氏が決勝で完投勝利した97年大会以来2度目の優勝まで、あと2勝に迫った。 (柳内 遼平)
《「平成の怪物」も大絶賛「投げている形が好き」》 織田が憧れの選手に挙げる横浜の先輩・松坂大輔氏(本紙評論家)は「(2番手で登板した)今年の神奈川大会の決勝で見ました。1年生で、とんでもない子だなと。今後がめちゃくちゃ楽しみですね」と話した。特に「投げている形が好き」と表現し、「体全体をしならせて、ボールに力を伝えるのが上手。ボール自体は(現時点でも)ドラフト候補に入ってもおかしくない」と高く評価した。神宮大会での完封勝利に「全国レベルを肌で感じて、来春の選抜に生かしてほしい」と期待した。
▼明徳義塾・馬淵史郎監督(織田について)まだ1年生だから。(松坂と比較するのは)それはかわいそうですよ。もう少し足腰を鍛えたら、良くなるかも分かりませんよ。
◇織田 翔希(おだ・しょうき)2008年(平20)6月3日生まれ、北九州市出身の16歳。足立小1年から足立クラブで野球を始め、足立中では軟式野球部に所属。横浜では1年春からベンチ入り。憧れの選手はOBの松坂大輔。1メートル85、71キロ。右投げ右打ち。