J1FC町田ゼルビアに来季加入が内定した産業能率大のGKカウンゼン・マラ（22）が22日、神奈川県伊勢原市内の同大学で会見に臨んだ。
東京Vの下部組織を経て関東大学リーグ2部で戦う中で、複数のクラブが注目するGKに成長した。左利きで1メートル90の長身を誇り、特長は小湊隆延監督によると「手足の長さを生かしたシュートストップや、大学リーグで一、二を争うロングフィード」だという。
同監督から「誰からも慕われる優しい人柄は良さでもある一方、プロでは厳しさも備えなければならないのでは」と紹介された通り、母のチュチュさんやチームの仲間が後方から見守った会見では、冒頭あいさつからいきなり言葉に詰まった。「両親、仲間、先生たちがいろいろな時に支えてくれて、本当に僕は幸せ者です…」。同席した町田の原靖フットボールダイレクター、丸山竜平スカウト統括責任者にハンカチを渡され、目頭を拭ったマラは「一番近くで支えてくれた両親と、毎日のように連絡を取り合ってお互い切磋琢磨してきた妹に感謝したい。恩返しできるように頑張りたい」と力強く誓った。
ミャンマー国籍で初のJリーガーとなる。外国籍枠にカウントされず公式戦に出場できる現在のJリーグ提携国7カ国（全て東南アジア）のうち、ミャンマーは唯一のJリーガー未輩出国だった。もっとも将来の日本代表入りを目標に、現在は日本国籍取得を目指している。父のミャトゥさんは、同国のバレーボール元代表選手。妹のイェーモン・ミャは、高校バレーの強豪・下北沢成徳のエースというスポーツ一家だ。
両親が来日した翌年に誕生しそのまま東京で育ったが、幼少期は肌の色の違いなどを理由にさまざまな困難もあったという。「僕のように海外にルーツを持つ子は少なくて、認められなかったり、お互いに分からないことも多かった。でも、その中でも目標を持って続けていけば少しずつ状況が変わり、やりたいことに近づいていけるんだと示していきたい」。良き仲間や指導者に恵まれ、町田で大きな挑戦への第一歩を踏み出す。