◇明治神宮野球大会高校の部2回戦 広島商3―0東海大札幌(2024年11月22日 神宮)
高校の部は2回戦2試合が行われ、4強が出そろった。広島商(広島)は、東海大札幌(北海道)を3―0で破って初出場初勝利を挙げた。東洋大姫路(兵庫)は、二松学舎大付(東京)を制して初の4強進出した。
甲子園7度の優勝を誇りながら縁のなかった明治神宮大会。初舞台で披露したのは、犠打や機動力を絡める伝統の「広島商野球」だった。2―0の2回無死二塁からは、2者連続(結果は犠打と犠打野選)で初球バントを成功させて加点。1死三塁からスクイズを決めた1番の小田健登(2年)は「二塁打が出た時点で確実に連続バントだと思っていた」と心の準備ができていた。
1899年の創部から125年。1924~42年に開催された戦前の「明治神宮競技大会」には4度出場も、73年から高校の部が行われている現在の大会は未出場が続いていた。同校出身の荒谷忠勝監督は「今も広島商の心構えは変わらない」と強調する。73年選抜準決勝で作新学院(栃木)の江川卓から重盗で決勝点を奪った攻撃は語り草。小技を重用する伝統は受け継がれ、小田は「どこよりも犠打の練習をしてきました」と自信を持ってスクイズを決めた。
俊足自慢の小田は「足を使う“広商野球”が好きだった」と同校進学を志した。伝統の力が、令和での神宮大会初勝利につながった。 (河合 洋介)