人気5人組バンド「LUNA SEA」の楽曲を、メンバー4人の出身地・神奈川県秦野(はだの)市の小田急線秦野駅で流れる音楽「駅メロ」にしようというファンの動きが盛り上がっている。
来年の市制70周年を前に、秦野青年会議所のメンバーらが10月10日に実行委員会を発足。5月に結成35周年を迎えたバンドと地元を盛り上げようと、今月10日から市内を中心に署名活動を展開している。X(旧ツイッター)やインスタグラムでも情報発信し、ベースのJ(54)は「俺たちLUNA SEAの駅メロで地元秦野が盛り上がれば本当に最高」と歓迎。ファン有志は、14、15両日にライブが行われた神奈川県民ホール(横浜市)ロビーでも署名を募った。23日からは秦野駅前で訴え。インターネット署名も含め、わずか2週間で7000筆を集めた。
バンドは、同県大和市出身のボーカルRYUICHI(54)以外は秦野市出身。RYUICHIは2012年に「かながわ観光親善大使」に、ドラムの真矢(54)が昨年5月から「はだのふるさと大使」として活動するなど意外と“地元密着型”。ギターのSUGIZO(55)も、ライブ中の水分補給に「おいしい秦野の水~丹沢の雫~」を愛飲している。
小田急電鉄は「駅メロ」にホーム利用客に列車の到着を知らせる「接近メロディー」を採用している。2006年、祖師ケ谷大蔵駅で「ウルトラマンの歌」などを流したのが第1号。海老名駅と本厚木駅の「いきものがかり」の楽曲も有名だ。真矢も「秦野駅の駅メロになるということが実現したら本当にうれしく思います。さらに地元秦野市を、そしてLUNA SEAを盛り上げていきたい」と採用に期待している。
実行委員長の今野翔さん(42)は「LUNA SEAは市の誇り」といい、年内に集めた署名を同市に提出予定。市議会の決議を待ち、市から小田急側に呼びかけ実現を目指す。バンドが来年2月22、23日に東京ドームで行うライブで「吉報が伝えられれば」といい、楽曲はアンケートで決める方針だ。(西村 綾乃)
≪地域ゆかりの歌手らの曲を採用≫「駅メロものがたり 人とメロディの中心に鉄道があった」の著者・藤澤志穂子さんによると「駅メロは発車ベルが変化したもの」で、発車ベルがない欧米などには存在しないという。日本では1951年に大分県の豊後竹田駅で「荒城の月」が「発車メロディー」となったのが最初とされる。以降、地域ゆかりの歌手らの曲が流れるようになった。選曲は「住民が地元を盛り上げるために使用を求めることが多く、地元の人が納得するような曲になります」という。「接近メロディー」は、電車の本数が少ない地方で到着を知らせるために流れることが多い。北海道のJR池田駅では「DREAMS COME TRUE」の曲が約5分前から流れるという。