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「光る君へ」敦康親王役の片岡千之助「境遇が自身と重なった」 敦康の達観は…「愛情を注がれているから」

スポニチアネックス 2024年11月24日 20時46分

 吉高由里子(36)主演のNHK大河ドラマ「光る君へ」(日曜後8:00)は24日、第45話「はばたき」が放送され、歌舞伎俳優の片岡千之助(24)演じる敦康親王が生涯に幕を閉じた。敦康は一条天皇(塩野瑛久)と藤原定子(高畑充希)の第一皇子。千之助は敦康の両親ゆずりの品の良さと儚さを表現した。スポニチのインタビューに応え、敦康の“悲劇”の運命を梨園の名家に生まれた自身と重ね合わせながら語った。

 <※以下、ネタバレ有>

 「ふたりっ子」「セカンドバージン」「大恋愛~僕を忘れる君と」などを生んだ“ラブストーリーの名手”大石氏がオリジナル脚本を手掛ける大河ドラマ63作目。千年の時を超えるベストセラー「源氏物語」を紡いだ女流作家・紫式部の波乱の生涯を描く。大石氏は2006年「功名が辻」以来2回目の大河脚本。吉高由里子は08年「篤姫」以来2回目の大河出演、初主演となる。

 大河ドラマへの出演は今作が初めて。「大河ドラマは歌舞伎のように日本の文化。いつか出演させていただきたいと思っていたので、すごくうれしかったです」と、オファーの心境を語った。祖父・十五代目片岡仁左衛門、父・片岡孝太郎と三代そろっての大河出演となる。「父や祖父に報告したら、“大河ドラマに出られるのは光栄なこと。貴重な経験になるから頑張ってね”と言われました。3代で出演できて良かったです」と喜んだ。

 敦康は一条天皇と定子の第一皇子。次の東宮になるはずだったが、藤原彰子(見上愛)に敦成親王が生まれたことで運命が変わる。藤原道長(柄本佑)は彰子らの反対を押し切って敦成を東宮にした。千之助は敦康の境遇について、「周りからの期待がある立場。東宮になって当たり前だと思われていた」と語った。

 自身は人気の女形・片岡孝太郎の長男。祖父に人間国宝の十五代目片岡仁左衛門を持つ。「僕も家系図的に家を背負っていくと思われている。常に重たく受け取って生活しているわけではないけど、絶対にぬぐえない、つきまとうもの。家を継承しなければいけないという思いがずっと頭の裏側にあって、生きていく上での一つの指針になっている。敦康の境遇が自身と重なりました」と実感を込めた。

 共感する部分があったからこそ、気持ちを自然とつくることができたという。「実生活に基づいてできた。敦康には期待されていた分、継げなかった悔しさがある。自分がもしそうなってもやるせない気持ちがあるだろうと思います」

 敦康は道長によって彰子から遠ざけられ、東宮の座を奪われ、21歳でこの世を去る。一見すると悲劇的な人生だが、千之助は「ちゃんと本当の愛情を受けている」と敦康の人物像を語った。第40話「君を置きて」(10月20日放送)で東宮になれないと知った時には達観した態度を見せる。「残念な気持ちや悔しさ、寂しさはある。その上で周りを気遣って取り繕うことができる。歯がゆい気持ちになりながら、流されながらも、自分というものを絶対に失わなかった。彰子や一条天皇たちから愛情を注がれているからこその強さだと思います」。敦康を東宮にしようと最後まで抵抗した一条天皇について「いかに定子を愛していたかを敦康を通してひしひしと感じました」と語った。

 その後、敦康は妻・祇子との間に娘を授かる。「妻と娘ができて気持ちが落ち着いたと思う。ちゃんと愛情を受けているし、誰も周りにいなくて置いてけぼりにされるわけではないし、信頼する人がいて、家族を持つ」。政に翻弄(ほんろう)されながらも、周りからの愛情を受けて屈折することなく生きる芯の強さを表現した。

 短いながらも濃い人生を丁寧に演じきった千之助。撮影中は私生活でも敦康が頭の中にいたという。「周りの方のお芝居から学べることがあった。歌舞伎の世界だけでは巡り合うことができないので、本当に貴重な経験でした」と充実感をにじませた。

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