◇WBSCプレミア12 スーパーラウンド第3戦 日本9―6台湾(2024年11月23日 東京D)
「ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12」で大会連覇を狙う侍ジャパンは23日、台湾に9―6で勝利。試合前時点で台湾とともにきょう24日の決勝進出が決まっていたが、スーパーラウンド3連勝で1位突破を決めた。初回に4番・森下翔太外野手(24)の2点適時打などで4得点。国際大会27連勝としたチームは台湾を連破し、大会史上初の全勝優勝で井端弘和監督(49)を胴上げする。
試合前に両軍の決勝進出が決まった前哨戦。不測の事態に見舞われた。台湾の予告先発が変更されることが通達されたのだ。それでも井端監督は「決めるのは大会側。あまり気にせず。僕らが関わることじゃない」と冷静だった。
ナインは「全勝で大会連覇」を合言葉に、前夜からスタメンを6人入れ替えた打線が圧倒した。チームで唯一全8試合にスタメン出場となった4番・森下が初回に2点適時二塁打。当初予定の左腕・林イク〓(リン・イクビン)ではなく、2日連続で先発した左腕・陳柏清(チン・ハクセイ)から4点を奪い、18球でKOした。チームトップの9打点で大会トップの13得点。指揮官から疲労を考慮し「(出場するか)どっちにする?」と聞かれながらも「4番で出られるチャンスはない。出たい」と志願した男が結果を残し「必ず勝って世界一になりたい」と決勝を見据えた。
井端監督の冷静な視点は試合中にもあった。3回の攻撃前に円陣を組み、自ら助言を送った。ピッチクロックのカウントスタートが一定ではないことから「打席に入る準備も早くしよう」と指示。直前には早川が、相手打者が打席に入らずに投球動作に入れず、結局20秒がたってボールを宣告されていた。何が起こるか分からない国際大会。指揮官が浮足立つことはない。
井端監督にとって東京ドームの台湾戦といえば、13年WBCの起死回生の一打。野球を知らない人からも「あの時はよく覚えています」と、今でも声をかけられる。WBC2次ラウンドで、負ければ敗退という2―3の9回2死から同点適時打。延長戦での勝利につなげた。引退後も縁が深く、台鋼ホークスで客員コーチを務めた経験がある。「日本に近いプレーをする。手ごわい」と分析した相手との打撃戦を制した。
予告先発を代えた台湾に、同じ左投手の先発だけは要望した。ミーティングを終えた後の選手やスタッフへの配慮でもあった。開幕から8連勝での決勝進出。「決勝は内容じゃない。結果だけにこだわる。あと1試合、なんとか勝ちたい」。完全Vが懸かる、日本プロ野球の今季最終戦に視線を向けた。(神田 佑)
≪完全優勝なら史上初/≫日本は1次ラウンドから無傷の8連勝で決勝進出を決めた。プレミア12の歴代優勝チームを見ると、15年韓国は6勝2敗、19年日本は7勝1敗となっており、日本がきょうの決勝で台湾に勝つと初の全勝優勝となるがどうか。
≪1勝2敗並ぶも台湾進出≫日本が台湾に勝ち、3戦全勝でスーパーラウンド1位での決勝進出を決めた。敗れた台湾は1勝2敗。ベネズエラ、米国と並んだが、同率の場合の順位決定条件となる当該対戦試合の合計TQB(得失点差率)がプラス.209でベネズエラ(プラス.078)、米国(マイナス.280)を上回ったため、2位となった。なお、デーゲームで米国がベネズエラに勝って両チームが1勝2敗となり、台湾を含めた3チーム間のTQBが確定した時点で、ナイターの結果を待たずに日本と台湾の決勝進出は決まっていた。
≪1大会3度対戦は初めて≫日本代表がプレミア12で同じチームと1大会に3度も対戦するのは今回が初めて。過去の主要国際大会を見ると、06年の第1回WBCで韓国と3度対戦。1、2次リーグで連敗を喫したが準決勝で6―0と完封し優勝につながった。09年の第2回WBCでは韓国と5度も対決。1、2次リーグで2度ずつ戦い、ともに1勝1敗と星を分け合ったが、決勝戦で5―3と勝ち大会連覇を果たした。