大相撲九州場所は24日、福岡国際センターで千秋楽の取組が行われ、大関・琴桜(27=佐渡ケ嶽部屋)は同じく1敗で並ぶ大関・豊昇龍(25=立浪部屋)と結びで対決。相星決戦を制し、初優勝を飾った。
立ち合いから強烈な突きで迫ってきた豊昇龍に対し、一度は投げられそうになったが、よく残り、最後ははたき込んだ。「琴桜の優勝」は1973年以来、51年ぶり。
「(これまで)決定戦を経験したり、優勝に近づいても優勝できない場所が続いて苦しい思いもあったんですけど、しっかり辛坊してやれば賜杯を抱けるんだと実感しました。(賜杯は)重かったです」と感無量の様子。「土俵上がるまでは意外と落ち着いていたんですけど、少し高ぶりもありました」と大一番の前の心境を振り返った。取組は「がむしゃらにとっていたので全然覚えてないんですけど、集中して相撲を取り切った結果。気づいたら相手が土俵に落ちていた」。勝った瞬間は「覚えてないっす…」と無我夢中だったことを明かした。
祖父は5度の優勝を果たし、07年8月に亡くなった元横綱・琴桜。父は元関脇・琴ノ若という相撲一家。今年初場所後に大関昇進後、春場所までは「琴ノ若」、夏場所から「琴桜」に改名した。祖父と孫での制覇は、日本相撲協会によると「過去に例はないと思われる」という。
「関脇・琴ノ若」だった今年の初場所、13勝を挙げながら優勝決定戦で照ノ富士に敗れた。大関の座は射止めたが、優勝を逃した悔しさを今場所にぶつけた。
先場所は8勝止まりだったが、連日力強い相撲を取り続け、大関昇進後最多の13勝に到達。今年の勝利数が65となり、年間最多勝争いでも大の里を抜いて単独トップに立った。この日の白星で14勝とし、年間最多66勝にまで伸ばした。
大関同士の優勝を懸けた千秋楽相星決戦は2003年名古屋場所の魁皇―千代大海(12勝3敗で魁皇が優勝)以来21年ぶりだった。
▼豊昇龍 相撲内容は悪くなかった。ただ、最後滑ってしまった。