阪神2軍の春季キャンプ地、沖縄県うるま市にある具志川野球場の防球ネットが高層化されたことが24日、同市への取材で分かった。本塁側の後方にある球場施設の外周ネットを、従来の高さ8メートルから14メートルにしたことで、これまで開催できなかったNPB球団との練習試合が可能になる。試合の組みやすさや練習時間の確保につながり、前川右京外野手(21)に続く次代の猛虎の主力輩出に期待がかかる。
虎2軍のキャンプ地の悩みが、また一つ解消された。具志川野球場の外周に立つ防球ネットを高層化。従来の8メートルが14メートルと大幅に高くなったことで、ファウルボールが球場施設外に出る危険性がほぼなくなった。
高くした最大の狙いは、NPB球団と練習試合をすることだ。来年2月には数試合を組んでいるとみられる。多ければ1日に数百人規模が訪れる2軍ファンにも朗報。試合のたびに県内を移動する回数が減ることになる。
23年に高知県安芸市からキャンプ地を移転した当時から、球団は防球ネットの変更をうるま市に要望していた。球団関係者によると、既存の高さでは「ファウルボールが外に飛び出して周辺民家に飛び込む恐れがあった」という。そのため、投手の球速がプロより劣ることで飛距離が抑えられる社会人相手に限定して試合を開催してきた。
本拠地で試合をできることで、練習量を多く確保できる波及効果もある。ビジターの場合は練習時間が短く、さらに往復の移動で時間を削られる。ホームならば試合前後にもみっちり鍛えられることで、日数が限られたキャンプの密度がより濃くなりそうだ。
特に、打ち込みや特守、さらに筋力トレーニングなどの練習量が不可欠な野手には、おあつらえ向き。高卒3年目の今季、116試合で打率.269、プロ1号を含む4本塁打、42打点でブレークの兆しを見せたのが前川。若手野手を猛練習漬けにすることで、第二、第三の前川の輩出に期待が高まる。
球団は来季、創設90周年を迎える。安定的な強さを保つためには2軍の強化は不可欠。生え抜きが次々と活躍する環境をつくり出せば、藤川新監督にとっても追い風になる。
施設整備は他にも進められ、サブグラウンドで内野ノックをできる場所が1面増えて2面になる。メイン球場の内外野の境目にあった芝の段差も解消した。昨年は屋根付きのブルペンを新設し、年々バージョンアップ。若虎を鍛錬する「虎の穴」は、十分な機能を備えつつある。
▽具志川野球場 沖縄本島中部の沖縄県うるま市にある野球場。1984年開場。両翼94メートル、中堅120メートル。収容人数4300人。春季キャンプ地としては開場当初の中日のバッテリー組や2軍を経て、90年代以降は長らく韓国プロ野球チームが使用。近年では21、22年に楽天2軍、23年から阪神2軍が使用している。