来季こそは日本一パレード――。ソフトバンクの優勝祝賀パレードは24日、福岡市中心部で5年ぶりに開催された。就任1年目で2020年以来のパ・リーグ制覇を果たした小久保裕紀監督(53)はオープンカーに乗り、沿道に集まった28万人の声援に応えた。日本シリーズ制覇を逃し、就任2年目の来季は05年に誕生したソフトバンクでは自身初の「日本一パレード」の実現を約束した。
晴れ間にも恵まれたが、福岡市中心部の日中の気温は肌寒さも感じる15度程度。それでも最前列のオープンカーでファンに手を振り続けた小久保監督の体は熱くなっていた。
「途中で手を振りすぎて汗をかいた。久々だったし、改めてファンのおかげだなと一番伝わるのがパレードですね」
オープンカー7台、オープントップバス2台に分乗した。コロナ禍だった20年は行われず、19年以来5年ぶりの開催。「個人的には2010年以来だった」。日本一の11年は首の手術もあり不参加で、リーグ優勝をしながら日本シリーズを逃した10年以来だった。
当時を懐かしみ余韻に浸りながら、みずほペイペイドームに到着。ひと息つくと悔しさもよみがえってきた。「正直を言うと、やっぱり日本一パレードをしないといけないと一番感じた」。沿道から聞こえたファンの言葉は「リーグ優勝ありがとう」がほとんどだった。ただ、気を使わせているとも感じた。
日本シリーズではセ3位のDeNAに2連勝後、4連敗。まさかの形で終戦し20年以来の日本一奪還を逃した。「日本シリーズのことは話しません。それよりも(リーグ)2連覇が大事。敗軍の将、兵を語らずです」。野手の秋季キャンプを視察した11日にそう語ったが、見えた景色を見て改めて痛感した。
狙うは日本一での優勝パレードだ。今回は28万人が沿道を埋めた。前回の日本一パレードがあった19年は雨天もあり、25万人だったが、同じく日本一の18年は37万人が押し寄せた。オープンカーで隣に座った王貞治球団会長も「やっぱり勝たないとね。来年はもう一番上でね」とリーグ連覇に加えて、日本シリーズ制覇を促した。
定着してきた今季スローガンのポーズも指揮官は車上で披露し続けたという。「かなりVIVA(ポーズ)をしました。フィットし過ぎてるみたい」。「乾杯」などを意味するラテン語の陽気な「VIVA!」は漢字では「美破」と書く。今季から掲げたのが「美しい野球」。就任2年目での、美しい結末までを思い描いていた。 (井上 満夫)
≪和田氏も楽しむ≫
H…今季限りで現役を引退した和田毅氏が優勝パレードを楽しんだ。有原らとともにオープンカーに乗り、沿道からの声援に手を振り応えた。「たくさんのファンの方に“ありがとうございました”“お疲れさまでした”と言ってもらえました。自分もありがとうございましたという気持ち。選手として最後の年に、いい思い出になりました」と笑みを浮かべた。