豊昇龍(25=立浪部屋)との21年ぶりの大関相星決戦をはたき込みで制し、14勝1敗で初優勝した琴桜(27=佐渡ケ嶽部屋)が九州場所千秋楽から一夜明けた25日、福岡市東区の部屋で会見した。「周りのみなさんから“おめでとう”と言われて本当にしたんだと思った」。自身では沸き起こってくることがなかったという感慨。それでも、15年九州場所での初土俵から丸9年でたどり着いた賜杯に「長かったような、早かったような」と笑顔を浮かべた。
取組後にもサプライズがあったという。前夜、福岡市内で行われた部屋の千秋楽パーティー。そこへ、祖父で先代師匠の元横綱・琴桜と同郷の石破茂首相からお祝いの電話があった。
父で師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇・琴ノ若)の携帯へ着信があり、パーティーの最中だったため、後で折り返したという。
「電話しながら“気をつけ”をしました」。佐渡ケ嶽親方は振り返り、「栄えある優勝を心よりお喜び申し上げますと共に今後益々のご活躍をお祈りいたします」とのメッセージをこの日の会見後、琴桜へ伝えた。「ありがたい。うれしく思います」と琴桜は感謝した。佐渡ケ嶽親方によれば、石破氏の父で元鳥取県知事の二朗氏が先代の後援会長を務めた縁で、琴桜も幼少時、祖父の功績を称え、毎年開催される「桜ずもう」で石破氏と会った可能性があるという。
来年1月の初場所(12日初日、東京・両国国技館)では豊昇龍とともに綱獲りに挑む。「未知数な部分があり想像はつかないが、そのくらいの方があまり考えずに済む。覚悟を決めてやっていく」。琴桜は一発合格への意気込みを示し、「先代が夢に出てきて“上がれないぞ”と怒られないようにしたい。早く追い付きたい」と意欲を語った。