◇明治神宮野球大会・高校の部 決勝 横浜4―3広島商(2024年11月25日 神宮)
関東大会優勝の横浜が1997年以来、2度目となる秋の日本一の座に就いた。
前回は松坂大輔をエースに優勝。翌年甲子園の春夏連覇、国体も制して4冠を達成した。この日の試合をスタンドから見守った渡辺元智元監督(80)はうれしそうに笑顔を見せ、同席していた慶大の堀井哲也監督(大学日本代表監督)から「おめでとうございます」の言葉に頭を下げた。
決勝の相手は伝統校・広島商。51年前のセンバツ大会決勝で対戦した相手だ。「ボクはね、広島商に思い入れがあるんですよ。きょう見ていてもまったく野球の質が変わっていない。足を絡ませ小技だけじゃない攻め。あとは守りがしっかりしている。ユニホーム同様、変わってないなあ」と好敵手を称えた。
51年前は作新学院の江川卓投手が突出した存在。決勝は作新学院だろうと思っていたという。しかし、準決勝で広島商が足を絡め捕手の悪送球を誘って決勝点を入れ“打倒江川”を果たした。
「こっちも打倒江川で乗り込んだからね。決勝戦は(延長で)冨田の本塁打で勝ったけれど、いいチームだった」と、思い入れはそのときからだ。この日の決勝戦も1、2回に2点ずつ入れ、大勝かと思ったら終わってみれば4―3の1点差。「粘る野球は相変わらず」とうなずいた。
先発した織田翔希投手は1年生。9回途中でマウンドを降りたが140キロ中盤のストレートはスタンドをうならせた。松坂との比較を聞くと「1年時なら織田の方が上かな。松坂の1年の頃はどうにもならなかったからね。それが急成長した。織田は今冬鍛えていけば松坂に並べるくらいの素材。伸びしろがあるから。野手は松坂のチームよりは上かな。神奈川予選からエラーはなかったんだが、きょうは3つ。これからそのへんを鍛えていけばね」と期待を寄せた。
試合後、ステッキ片手に球場外に集まるナインにねぎらいの言葉をかけた元指揮官。関係者の「一緒にチームバスで帰ってください」という言葉にも「いいんだよ。電車で帰れば横浜なんてすぐ着くから」と笑顔で球場をあとにした。