大相撲九州場所で初優勝した大関・琴桜(27=佐渡ケ嶽部屋)が千秋楽から一夜明けた25日、福岡市東区の部屋で会見し、祖父の元横綱・琴桜と同じ鳥取県出身の石破茂首相からメッセージが届いたことを明かした。日本出身横綱誕生の期待が高まる中、本紙評論家の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)は14勝での優勝を高く評価。初の綱獲りに挑む初場所(来年1月12日初日、両国国技館)へ大きな期待を寄せた。
鬼の形相で臨んだ大関相星決戦を制してから一夜。琴桜はいつもの柔和な顔で口を開いた。「周りの皆さんから“おめでとう”と言われて本当にしたんだと思った」。15年九州場所での初土俵から9年でたどり着いた賜杯。「長かったような、早かったような」と笑みを浮かべた。
大関5場所目で悲願を成就した後、サプライズがあった。部屋の千秋楽パーティー。父で師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇・琴ノ若)の携帯へ見知らぬ番号から着信があった。パーティーの途中だったため、後で折り返すと、相手は祖父と同じ鳥取県出身の石破首相だった。石破氏の父で元鳥取県知事の二朗氏が祖父の後援会長だった縁もあっての“直電”。さらにその後、「栄えある優勝を心よりお喜び申し上げますとともに今後ますますのご活躍をお祈りいたします」とのメッセージも送られた。常にどっしり構えている琴桜も、これには「びっくりした」と驚き、「ありがたい。うれしく思います」と感謝した。
初場所では、優勝を争った豊昇龍と綱獲りに挑む。「未知数な部分があるが、その方があまり考えずに済む。覚悟を決めてやっていく」。17年初場所後に昇進した稀勢の里以来の日本出身横綱の期待を背負う。一発昇進への意気込みを示した27歳は、「先代(祖父)が夢に出てきて“上がれないぞ”と怒られないようにしたい。早く追い付きたい」と迷いなく言い切った。 (筒崎 嘉一)