元鳥取県知事で大正大特任教授の片山善博氏が26日、BS―TBS「報道1930」(月~金曜後7・30)に出演し、年収103万円の壁の引き上げを目指す国民民主党の玉木雄一郎代表の考えに私見を語った。
自民、公明、国民民主の3党は壁の引き上げについて合意し、今後は引き上げ額を決める議論が続けられる。そんな中、25日に開かれた全国知事会では、壁の引き上げで年間4兆円の財源が失われることに懸念が噴出した。
与党内では、地方税になる個人住民税分を引き上げない“分離案”も浮上している。片山氏は「自民党の中で与党で分離案が出てくるというのは、非常に合理的な考え方だと思う。ありだと思います。むしろこっちの方が、私はすっきりすると思います」と、高評価した。
一方で玉木代表は、地方税収が伸びていることを理由に、地方税分も対象とし、178万円まで引き上げることを掲げている。こうした考えに、片山氏は「玉木さんも旧大蔵省の出身で、大蔵省的発想ですよね」とバッサリ。「“国もこれだけ痛みを感じるんだから、お前らも同じように痛みを感じろよ”というのがいつもの発想」と指摘した。
片山氏によると、これまで地方の税収は国の税収に連動する形で上下させてきたという。しかし、「自治体は自分たちの仕事をこれだけやります。それだったらこれだけ収入が必要ですよね。だから税率をこうしましょう、これが本来の地方自治」と主張。「税を下げようと思ったら仕事を減らしましょうとか、そういうメカニズムがあまり効いていない。全部国が決めちゃう」と問題点を挙げ、「いいチャンスなので、分離すれば、地方の方で自治体ごとに仕事と負担との関係を議論するきっかけになる」と、前向きな要素も付け加えた。