【ROAD TO 甲子園ボウル】真の王者を決めるにふさわしい。ファン必見の魅力的なカードが、準決勝に並んだ。法大―関学大が昨年の甲子園ボウル再現なら、立命大―早大は過去3度、学生日本一を争った好敵手。関東、関西の1、2位校が残り、決勝を含めたラスト3試合の結果は、まるで予測がつかない。
準々決勝のハイライトは、早大が関大を撃破した一戦だった。関西3位の実力校を徹底的に研究した成果が4TDに表れる。試合開始直後の1本を含め、ロングドライブの2TDを決めたRB安藤慶太郎(3年)は、勝利の一因に反骨心も挙げた。
「(大学アメフト界は)西高東低とかいわれて、みんなで見返してやろうと言っていた。関東だってやれるんだ、と」
甲子園ボウルが全国に門戸を開いた64回大会(09年度)以降、関西勢の14勝1敗。圧倒的な戦績が世論の根拠になっていた。ただ、現場で戦う指導者の感覚は少し違う。立命大の高橋健太郎監督はこう表現した。
「西高東低ではなく、関学さんの1強。(準決勝に)早稲田さんが上がってくる可能性も十分にあると思っていた」
指揮官によれば、スピードやバランスにたけた選手が多い関東に対し、圧倒的なフィジカルの強さで対抗するのが関西のスタイル。「関西のリーグ戦では見慣れないような選手が多いので、苦戦すると思う」。9年ぶり出場を懸けた大一番に向け、手綱を引き締めた。
そして、地の利が勝敗に与える影響も小さくない。早大・高岡勝監督は「(関大戦は)味の素スタジアムで、リーグ戦を戦うリズムのまま試合に臨めた」と振り返る。アウェーの地に乗り込む準決勝こそ、チームの真価が問われる。
勝負のポイントは、RB山嵜大央主将らタレントのそろう立命大オフェンスを早大がどれだけ抑えられるか。準備期間はわずか1週間。1Q15分の試合時間で、選手層の厚さも問われる。
一方の法大は、1年前に40点差で敗れた戦力差をどこまで縮められるかがカギ。関学大はスペシャルプレーなど、手の内をほぼ見せないまま勝ち上がっており、王者から先取点を奪って、慌てさせたい。
本物の強者を決めるために改編されたトーナメント。エリアを超えて生まれる好勝負が競技の発展につながっていく。 (堀田 和昭)