森保ジャパンは8大会連続8度目のW杯出場に王手をかけ、一年を締めくくった。24年の日本代表で起用された選手は計43人。今回は「データスタジアム」各種個人通算スタッツで飛躍を遂げた3人に焦点を当てる。 (記録課・海鋒 宏樹)
【小川 空中戦無類の強さ誇る】
今年は全試合アジア勢との対戦で、得点は97年以来の年間50得点に到達。没収試合を除く15試合全てで得点を挙げ、22年W杯スペイン戦から続く連続試合得点は歴代最多の27試合まで伸ばしている。得点ランク3位で6得点のFW小川は、出場時間がともに7得点の上田(808分)と南野(805分)の半分以下となる312分ながら、少ないチャンスをものにして結果を残した。6得点全てワンタッチゴールでうち5得点が頭。敵陣の空中戦勝率は上田の46%を上回る71%と強さを誇り、ゴールを量産した。上田不在の11月シリーズは2試合に先発し、年内最終戦の19日の中国戦では2得点を挙げ勝利に貢献。A代表デビューから9試合で9得点は、釜本邦茂ら4選手の8得点を塗り替える新記録となった。
【彩艶 歴代2位タイの4完封】
GK鈴木も今年の森保ジャパンで大きく成長を遂げた一人だ。24年の最終予選全6試合にフル出場し、14年W杯同予選で川島がマークした歴代2位の4完封に並ぶなど正守護神に定着。起用された他のGK3人は短い出場時間で枠内シュートを打たれておらず、セーブは0。鈴木は最多の13試合に出場し16セーブ、セーブ率62%の成績を残した。また、ペナルティーエリア外からの被枠内シュートは7セーブで無失点。森保ジャパン通算でも同エリア5セーブ以上の歴代GKの中で唯一の失点0だ。
【町田 最終予選唯一のフル出場】
6月から3バックの左を主戦場にしているDF町田はフィールド選手では唯一の最終予選6戦フル出場。1メートル90の長身を武器に空中戦勝利が最多の50勝、勝率も75%と高く、エアバトルを制した。足元の技術も兼ね備え、攻撃のスイッチを入れる縦パスを多く供給、アタッキングサード(ピッチを3分割した最も敵陣側)へのパスはDF最多の138本を成功させた。主要メンバーは固定化されつつあるが、3月初戦で突破を決めれば、新たなメンバーを試す機会は増えそうだ。今後は新戦力発掘とさらなるチームの底上げが期待される。
《上田は7得点で2年連続最多》
最多7得点を挙げたのがFW上田とMF南野の2人。上田は昨季に続く7得点で2年連続最多とエースの活躍を見せた。
6アシストでトップのMF伊東はクロスも2位以下を大きく離す40本。6アシスト中、2アシストがクロスで直近19日の中国戦でもピンポイントクロスで小川の得点をお膳立てした。
ドリブル(仕掛け)最多は伊東とMF中村のSランスコンビで19回。中村は10月のオーストラリア戦で20分の出場時間ながらドリブル3回全て成功、後半31分には縦の突破からの折り返しで、同点オウンゴールを誘発している。
MF久保はスルーパス38本、ラストパス24本でトップ。セットプレーのキッカーも務め、CKからのラストパスが9本、うち2本がアシストとなった。9月のバーレーン戦では自陣センターサークル内でボールをキープすると、相手のゴール前へグラウンダーのロングスルーパスを中村に通した。
中盤の底から攻守で輝きを放ったMF守田は、こぼれ球奪取が最多の44回、守備の指標となるCBI(クリア、ブロック、インターセプトの合計)も32回で5位と安定したプレーを見せた。広い視野で周りの状況を把握し、ゲームの組み立てや攻撃にも参加。得点4、シュート16、ラストパス12と攻撃項目でも高い成績を残した。