J1新潟はオフ明けの26日、聖籠町のアルビレッジで30日のホームG大阪戦に向けて練習を再開し、ミニゲームなどで調整した。残留を決められる大事な試合で、2戦連続先発に意欲を見せるのが特別指定のDF稲村隼翔(東洋大4年)。堅守でホーム最終戦を飾り、大学生活最後の大会へと弾みをつける。
まだ大学生だが、もうプロの風格が十分に漂う。キャンプから練習参加し、東洋大と新潟を行き来しながらシーズンを戦い続けてきた稲村は、リーグ戦8試合ぶりの勝利へ、最終ラインの一員として責任感を口にした。
「自分たち守備陣のプレーの質が求められる。ここで無失点で抑えて勝てば、自分の価値も上がる」
ここまで「一瞬で過ぎ去った」と今季の充実ぶりを物語る。東洋大では副主将としてチームを引っ張り、歴代最高の1部リーグ3位に導いた。個人でも初のベストイレブンを受賞。3年時に新潟への加入が内定し、今季は存在感を示すためにも「個人の賞が獲りたかった」と目指していた中での有言実行だった。
大学はもちろん、ルヴァン杯決勝の大舞台でも実力を発揮できたのは、メンタル面の成長が大きかった。「本当に一試合に懸けていると凄く感じた。プロの選手と多くの試合をともにして学べた」。以前からどんな試合でもモチベーション高く臨むことはできていたが、一試合、一プレーで評価される世界に入り、さらにその一瞬を大事にするようになった。今は「試合に懸ける思い、自分の価値を高めるためにという思いを1週間かけてつくっている」という。
今回は19日から練習に合流。前節の柏戦のCKから失点した場面をDF舞行龍らと話し合って修正を図ってきた。23日の山形との練習試合では「その反省を生かせた」と手応えもあった。
引き分け以上でJ1残留が決まるG大阪戦は「強気に勝ちにいくことを意識してやり、失点しないで終われればいい」と堅守を誓う。12月には大学の仲間と戦える最後の大会のインカレも控え、まだまだシーズンは続く。「残留をしっかり決めて、4年間日本一を目標に掲げてやってきたので1位を取りたい」と士気高く語った。