阪神・高橋遥人投手(29)が26日、西宮市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、650万円増の来季年俸2500万円でサインした。長年、エース級のポテンシャル開花を期待されてきた左腕は、今月上旬に受けた「左尺骨短縮術後に対する骨内異物除去術」から復帰を目指す上で(1)平均投球回数7回以上(2)DeNA&巨人キラー(3)大一番での快投の「エース3カ条」を宣言。年内のキャッチボール再開、来年2月の春季キャンプでのブルペン入りを目標に掲げるなど当初は白紙だった開幕1軍へ前進した。
いつまでも「救世主」と呼ばれるわけにはいかない。エース級の潜在能力を来季こそ結果に反映させるべく、高橋は意気込んだ。
「出てくるのが今年も遅かったんで。早い段階で1軍の戦力になれるように。足りない部分をもっと補って戦力になれればと」
今季は昨年6月に受けた「左尺骨短縮術」及び「左肩関節鏡視下クリーニング手術」から8月に復帰した。先発で5試合に登板して4勝(1敗)を挙げた。そして、現在は今月上旬に「左尺骨短縮術後に対する骨内異物除去術」を受けてリハビリ中。ただ、経過は良好で「年末か12月中に」とキャッチボール再開のメドを口にし「(2月の)キャンプとかで、しっかりブルペンに入れるように。そこを目指す」と白紙だった開幕1軍へ前進していることを明かした。
今は焦らず、牙をとぐ時間も来季1軍復帰を果たしてからは文字通り「エース道」を突き進むつもりでいる。ローテーションの中心としてフル回転すべく、3カ条を口にした。
(1)平均7回以上
「(こだわりたいのは)イニングですかね。1試合を7、8回。長く投げられるようにしたい」
今季、レギュラーシーズンの平均投球回数は5・93で、過去7年間で最も投球回数の多かった19年も先発18試合で平均6と壁は高いものの、完投能力も備える左腕にとって不可能な数字ではない。
(2)DeNA&巨人キラー
「(2球団は)やっぱり圧倒したいですね。圧倒できるように頑張りたい」
リーグ優勝を果たした巨人、シーズン3位から下克上で日本一に輝いたDeNAのライバル球団の前に“キラー”として立ちはだかりV奪回に貢献する。
(3)大一番での快投
今季は首位に1ゲーム差で迎えた9月23日の巨人戦、負ければ終戦となる10月13日のCSファーストステージ第2戦の先発を任されるも、ともに黒星。「一番大事な2試合で順位、シーズンが決まった。そういう試合で勝ちきれるように」としびれるマウンドでの白星を渇望した。
「今回も手術させてもらったんで。帰ってきた時にまた変わった自分を見せたい。良い時の自分を超えられるように」。
もう「復活」は最後だ。来季こそ立ち止まらず、腕を振り続ける。(遠藤 礼)
《高橋遥人の経過》
★22年 春季キャンプ後から前年11月にクリーニング手術を受けた左肘に違和感。4月に「左肘内側側副じん帯再建術(通称トミー・ジョン手術)」を受ける。
★23年 2月の春季キャンプではブルペン投球を行う回復ぶりも、今度は左肩に異常を発症。ノースロー調整を経て6月に「左尺骨短縮術」と「左肩関節鏡視下クリーニング術」を受けた。オフに育成選手で再契約。
★24年 7月20日に支配下選手登録。8月11日広島戦で1009日ぶり1軍登板し、5回無失点で勝利投手。シーズン5試合で4勝1敗。10月13日DeNAとのCSファーストS第2戦では、先発で5回4失点の負け投手となった。11月に「左尺骨短縮術後に対する骨内異物除去術」を受けた。