広島・矢野雅哉内野手(25)が26日、広島市南区の球団事務所で契約交渉し、約3倍の年俸5300万円で更改した。自慢の堅守を武器に台頭し、4年目にして初のゴールデングラブ賞に輝いた遊撃手。来季は連続受賞を目指すだけでなく、相手バッテリーの研究を重ね、技術を磨いて「盗塁王を狙っていきたい」と高らかに宣言した。
師事する名手・菊池から贈られた「7着目」のスーツに身を包み、矢野は晴れやかな表情で会見場に姿を見せた。今季の1750万円から約3倍の大幅増となる年俸5300万円でサイン。走攻守で活躍を認められ、喜びをかみしめた。
「自分では、打撃も守備もやり切った感がなかったので、そこまで上がるとは思っていなかった。めちゃくちゃいい評価をしていただき、うれしいです」
4年目にして1軍でブレークした。優れた身体能力による堅守、強肩を武器に遊撃のポジションを奪い、守備のスペシャリストに贈られるゴールデングラブ賞を初受賞。二遊間を組む菊池とともに、新井監督が掲げた守り勝つ野球を体現した。
「目標が一つかなった。本物の守備職人になれるよう、何年も続けていきたい」
課題とされた打撃でも飛躍を遂げた。規定打席に初到達し、出場137試合、112安打、打率・260、38打点はいずれもキャリアハイ。2年ぶりに2本塁打を放った。9月22日の中日戦では粘って22球を投げさせ、1打席の投球数でプロ野球新記録もつくった。
「課題は走攻守、全て。打撃はチームへの貢献、守備は安定感、走塁では盗塁王を狙いたい。狙える位置にいると思ったので」
来季に向けた質問では、タイトルへの意欲を隠さなかった。今季の13盗塁は同僚の小園と並んでリーグ3位。企図数23、失敗10、盗塁成功率は・565だった。対してトップの阪神・近本は19盗塁、企図数28、失敗9、同・679。企図数と成功率が鍵になる。
「今年は打線が点を取れていない。一つのアウトが…と考えると、なかなかスタートが切れなかった。相手バッテリーを勉強し、確実性を上げたら、もっと増えると思う」
理想に挙げたのは6月11日の西武戦での2盗塁。普段対戦しない今井から二盗、三盗を決めた。準備を整え、割り切って走った典型例だ。そのためには上位打線での先発が不可欠。「2番が一番。いろんな仕事ができる」と力を込めた。
「今年一年出て、2年目が大事になってくる。まだレギュラーを獲っていない。練習を怠らず、しっかり準備して来季に臨みたい」
油断なし。高みを目指す姿勢が頼もしい。(江尾 卓也)