◇ボクシング全日本選手権第2日(2024年11月27日 東京・ひがしんアリーナ)
男女20試合が行われ、男子ライトミドル級は星大二郎(和歌山県庁)が4―1の判定勝ち(29-28×4、28-29)で初戦を突破した。1回は手数でやや劣勢ながら、2回以降はカウンターの右フックをあわせながら巻き返す逆転勝ちで、ベテランの貫禄を漂わせた。
東農大在学中に北京五輪代表候補にもなった39歳は、12年ロンドン五輪金メダリストで元WBA世界ミドル級スーパー王者村田諒太氏、ロンドン五輪バンタム級銅メダリストの清水聡(大橋)らと同期生。この日は村田氏が応援に駆けつけたが「試合前、村田の話し相手をして2時間くらい拘束されていたので、体が温まってなかった」とスロースタートとなったことに嘆き節を交えながら「昨年から階級も上げているし、練習もそんなに積めていなかったので今日1日できたことが収穫」と安堵(あんど)の表情。声援を送った村田氏は「パンチを見切る天才というか…要領よくやる天才ですね!」と冗談交じりに同期の活躍を喜んでいた。
兵庫県神戸市出身の星は、15年の国体開催地だった和歌山チームに加わるため14年に同県に移住。05年の75回大会からライト級で全日本3連覇を成し遂げながら、39歳となった現在も週4日、仕事後に約1時間の練習を続けている。同時期に同県に移住した14年仁川アジア大会フライ級銅メダリストの林田翔太(32=和歌山県教育庁)と汗を流しながら「今の若い子に少しでも何か与えられたら」と、感謝したアマチュアボクシング界への恩返しを続けている。
一学年上の12年ロンドン五輪男子フライ級代表だった須佐勝明氏は現在、日本ボクシング連盟のハイパフォーマンスディレクターとしてアマチュア界に携わってる。「村田もそうだし、須佐さんなど、ずっと一緒にやってきた方もまだまだ頑張っている。ボクシングを続けることが僕の使命だと思うし、アマチュアボクシングがこれからどんどん盛り上がっていけばいい」。ベテランとしての使命を全うする決意を胸に、頂点を目指す。