フジテレビを除く民放キー局4社の11月定例会見が28日までに終了した。兵庫県知事選を巡り既存メディアの信用低下が叫ばれる中、各局が今後の報道の在り方に言及した。
17日投開票の兵庫県知事選でパワハラ疑惑などを巡り県議会で不信任決議を受けたが、SNSを駆使した選挙戦略で“風”を起こし斎藤元彦氏が再選。その裏には、斎藤氏のパワハラ疑惑や“おねだり”を大きく報じたテレビ、新聞など“オールドメディア”に対する市民の不信感があると指摘する声が相次ぎ、「SNSが既存メディアに勝った」とする意見もみられた。
TBSの龍宝正峰社長は「我々は有権者の方たちにしっかりとした情報を届けられるように選挙報道についてはもっといい形を議論していく」とした上で、「別に勝った負けたのじゃないと思っています。我々がSNSに負けたということではなく、我々はやるべきことをやっていくことに尽きる」と指摘した。
また、TBSの荒井報道局長は「すでに兵庫県知事選、遡って都知事選、それから衆院選、すべて有権者の人たちのSNSの情報のやりとりが、どういったものだったのか検証し、それからテレビの選挙報道の伝え方が有権者にしっかりとした判断材料につながる情報をお伝えできていたのかということを真摯に振り返りましょうということで、検証・議論の段階に入っている」とすでに働きかけていることを報告した。
テレビ朝日の篠塚浩社長は「SNSを中心に、さまざまな情報をいろんな方が発信されることは当たり前のことですし、そのSNSが選挙に活用されることも、アメリカ大統領選などかなり前からやってることですし、世界的に見ても常識だなと思ってます」としつつ「一方で、その発信される言説・情報の中に一部誤りがあったり、あるいは人々が受け取る情報が偏ってしまうという弊害、問題も世界的に指摘されている」とコメント。「選挙報道に関しては、毎回毎回、選挙ごとにいろんなテーマで反省材料が出てきて、その都度それを反省して、次の選挙に活かすという、まさに選挙ごとに進化をたどっている」とした。
テレビ東京の同局の石川一郎社長は「いろいろな形で世界中で選挙にSNSを使った活動が広がっている」とし、その上で「決して我々オールドメディアが否定されたわけではない。我々としてはファクトがしっかりした報道をすることで、視聴者の皆様の政治に対する理解を深めていただけたらと思う」とした。続けて「極めて難しいが、我々は放送法4条によって政治的中立を維持しないといけない。特に選挙は公示されたあとは細心の注意を払いながら報道している。この考え方を変えることはない」とし、「SNSでは、あることないことが流されている。今の公選法ではメールは厳しく制限されるが、SNSはほとんど制限されない。これからどうするのか法的な問題も含めてきちんと見ながら対応したい」とした。