テニスの国際不正監視機関ITIAは28日、禁止薬物のトリメタジジンに陽性反応を示した女子世界ランキング2位のイガ・シフィオンテク(23=ポーランド)が、1カ月の出場停止処分を受け入れたと発表した。
シフィオンテクは8月の競技外検査で陽性反応を示したが、母国ポーランドで製造・市販され、時差ぼけと睡眠障害の治療のために服用していた薬メラトニンにトリメタジジンが混入していたという。ITIAは故意の摂取ではなく「過失、または重大な違反なし」に該当すると判断した。
シフィオンテクは9月12日から10月4日まで暫定的な出場停止処分を受け、韓国オープン、中国オープン、武漢オープンの3大会を欠場していた。また、陽性反応が出た直後に4強入りしたシンシナティ・オープンの賞金15万8994ドル(当時約2300万円)も放棄した。12月4日に処分が解除される見込み。
シフィオンテクは今年の全仏オープンなど四大大会を5度制し、パリ五輪でもシングルスで銅メダルを獲得。10月までは世界ランク1位だった。シフィオンテクはSNSに投稿した動画で「人生で最も困難な経験は私にいろいろなことを教えてくれた。この出来事は間違いなく一生忘れられない。心が折れそうになったし、練習復帰に時間がかかった。何度も涙を流し、眠れない日もあった。テニスをすることが許されるのかすら分からなかった」と当時の心境を打ち明けた。