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阪神・大山 球団最長5年総額20億円規模の大型契約で残留「もう一度、優勝、日本一になりたい」

スポニチアネックス 2024年11月30日 5時18分

 国内フリーエージェント(FA)権を行使した阪神・大山悠輔内野手(29)が29日、兵庫県西宮市内の球団事務所で会見し、残留を表明した。2001年オフに日本ハムから移籍した片岡篤史、14年オフに海外FA宣言して残留した鳥谷敬と並ぶ球団最長の5年契約で、年俸3億4000万円プラス出来高払いのベース年俸計17億円、総額20億円規模で合意した。球団史上最大級の大型契約で、事実上の生涯タテジマ宣言。巨人の熱烈オファーを断った要因の一つに、虎党の存在を挙げた。

 大山の表情は、晴れ晴れとしていた。少し伸びた前髪を立て、三つぞろいのスーツをまとった精悍(せいかん)さを漂わせた会見。壁に張られた大きな虎マークが描かれた球団旗を背に、「来年もタイガースでプレーすることを決めました」と切り出した。

 16年にドラフト1位で指名され、8年間、タテジマを着てきた。この先も同じユニホームを選んだ理由の一つに、虎党の存在があった。オリックスと争った昨年の日本シリーズの熱狂が耳から離れない。「一番忘れられない。地鳴りのような、あの感動は忘れられない。それを、もっともっと感じたい」と再現を願うようになった。

 さらに、直近の23日のファン感謝デーでも心を動かされた。観客席の至るところに自身の応援タオルを確認。登場でひときわ大きい歓声を受け、退場では「大山コール」が起きた。感無量だった。

 「スタンドに、多くの僕の赤いタオルを披露してもらって、すごくうれしかった。そのタオルをもっともっと増やしたいと思った」

 前日28日に、兵庫県の淡路島で開催された球団の選手会納会に出席した。チームメート、裏方との交流も決め手の一つになり、この日、決断に至った。

 「一度きりの人生だし、野球人として他球団でプレーすることで自分にプラスになると分かっていた。そこで挑戦して、また新しい自分を発見できる可能性がある。いろいろ考えたが、それでもチームメートともう一度、優勝、日本一になりたい気持ちが強かった」

 「他球団の評価を聞きたい」と13日に国内FA権行使を表明。15日の交渉解禁後、争奪戦は巨人と一騎打ちの様相を呈した。阪神を上回る6年総額24億円超を提示したとみられる。さらにメディアを通して届く阿部監督、坂本、岡本和のラブコールにも心が揺れた。「あれだけ活躍されている選手が自分をこうやって思ってくれていたのは本当にうれしかった」。悩み続け「自問自答をする日々」は21年に結婚した妻が相談相手になってくれたことが支えになった。

 藤川監督には電話で残留を報告。「“一緒に頑張ろう”と言ってもらえた。監督と勝ちに向かって、頑張りたい」。同僚にも連絡した今、目を向けるのは来年だ。契約期間は片岡、鳥谷と並ぶ球団最長の5年。ベース年俸計17億円プラス出来高払いの総額20億円規模の大型契約の期待に応えるべく、藤川阪神の主砲は「まずは一年一年だと思う」と気を引き締めた。代名詞の全力疾走は、この先も変わることはない。 (倉世古 洋平)

 ○…大山の5年契約は阪神選手では3人目の最長契約年数。過去には01年オフに日本ハムからFAで加入した片岡篤史が5年12億円、14年オフにFA宣言残留した鳥谷敬が5年20億円の契約を結んでいる。プロ野球日本選手の最長契約年数は7年で、近年では22年オフに日本ハムからソフトバンクに移籍した近藤健介が契約を結んでいる。

 ▽大山FA宣言 経過

 ☆11月13日 国内FA権行使を表明。「他球団からの評価を聞きたいというのが一番の決断理由」などと行使に至った経緯を説明。

 ☆14日 FA宣言選手として公示される。

 ☆15日 他球団との交渉解禁。

 ☆21日 タイガース杯ゴルフに参加し、FA宣言後初めて公の場に姿を現す。「今はまだ何も話せることはないです」と繰り返した上で、「自問自答しながら毎日いる」などと悩める胸中を吐露。「決断した時に自分の口から説明するので」と話す。

 ☆23日 「ファン感謝デー2024」に参加。来場した阪神ファンから「来年も残ってくれ」などと熱烈ラブコールを受けて、「それ(声援)はもちろん(ありがたい)です」と感謝。

 ☆25日 球団納会を欠席。当初は出席予定だったが、当日になってキャンセル。

 ☆28日 選手会納会に出席。チームメート、スタッフらとゴルフなどを楽しむ。

 ☆29日 阪神残留を決断し表明。

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