ムロオ関西大学ラグビーAリーグの最終節が、きょう30日に東大阪市花園ラグビー場で行われる。
勝てば同校初の4連覇が決まる京産大は、勝ち点25で並ぶ天理大との一戦に臨む。この日までにメンバーが発表され、フランカー(FL)の伊藤森心(いとう・もりし、3年=松山聖陵)が2試合ぶりに先発復帰した。
「1学年に1人ぐらい」(広瀬佳司監督)という、ラグビー部には珍しい一般からの入部生で、同学年では1人だけだった。推薦で入ってきた面々との競争の末、今季は開幕からメンバー入り。第4節立命大戦でリーグ戦初先発を飾り、続く第5節も先発起用された。優勝を懸けた最終節で再びスタメンに名を連ね、身長1メートル75のハードタックラーは言葉に決意を込めた。
「昨年の天理大戦をスタンドで見ていて、健くん(日吉健)と皓正さん(三木皓正、現トヨタ)の6、7番のプレーに心を震わされた。三木皓正のイズム、レガシーが今も死んでいないことをもう一度、思い出させたい」
唯一無二の存在だった昨季主将に憧れ、ずっと背中を追ってきた。愛媛の松山聖陵高出身。早い段階で京産大の公募推薦入試に合格していたが、当初は「第1志望じゃなかった」という。ただ、関学大からのスポーツ推薦の話がなくなり、早大の入試も2次試験で落ちた。その状況下で松山聖陵高ラグビー部の渡辺悠太監督から「京産大は関西一のチーム。お前なら勝負できるんじゃないか」と言葉を掛けられ、最終的に「トップレベルで勝負しよう」と決意を固めた。
入学してから1カ月程度は仮入部期間があり「自分だけ寮生活じゃなくて一人暮らし。疎外感もあった」と苦笑いで当時を振り返る。一方で「自分が選んだ道」と信念は揺るがなかった。サイズに恵まれていなくても、1週間に8~9回のウエートトレーニングなどを継続。ケガなどにも苦しみながら、3年の秋を迎えてAチームのスタメンにたどり着いた。その努力を間近で見てきた広瀬監督は「1年の時から“どうやったらレギュラーのジャージーをつかめるか”を考えていた」と評する。
天理大戦で再び先発に抜擢され、伊藤自身、身が引き締まった。「自分が起用されるということは、求められているのはディフェンスだと思うので。誰もやりたがらない仕事、ハードなタックルやブレイクダウンが求められている」。勝てば4連覇、負ければ2位以下という大一番。泥臭く戦い、チームを下支えする。