NBAレーカーズの八村塁(26)が日本代表のトム・ホーバス監督(57)の手腕などに疑問を呈し、波紋が広がっている件で、日本バスケットボール協会(JBA)の三屋裕子会長(66)は30日、都内で報道陣に対応した。
三屋氏は「私もいろいろ考えてはいたが、組織のトップとして発言することは重い。これは不祥事でもコンプライアンス違反でもない。組織のトップとして何を言うか悩んだ」と思いを吐露。「私がいつ、どのようにして出ていけばいいかは悩んだ」と続けた。
対応まで時間がかかったことについては「皆さんから、遅いと言われるのは分かっていました。批判は甘んじて受けます」と語った。
今回の騒動について「ご心配をおかけしている」と語り、「競技団体の責務は選手が安心してプレーできる環境を作らないといけない」と続けた。「一連の出来事の中でコミュニケーションを見直さないといけないということがでてきた」とし、「海外でやっている選手のカウンターパートを明確にしないといけない。しっかりと責任者を据えていかないといけない」と海外のチームに在籍する選手とのやりとりについての見直しを明言。「アスリート委員会を活性化させることで選手の声がJBAに届くようにしたい」と話した。
日本代表の渡辺雄太が発言したことにも言及。「渡辺雄太選手はNBAでやってきて八村選手の思いが分かる。我々が言えないことを言ってくれて、彼の気持ちが伝わる会見だった」とうなずいた。
国内外での違いについても触れ、「価値観の違いはあると思う。価値観の違いを公で話すと永遠に平行線。個別に丁寧に対応していく方針でいます。エージェントが話すと伝聞、伝聞になる。今回生まれた価値観の違いを埋めるのは簡単ではないが、少なくとも努力はしていく。代理人とは細かく連絡を取っている。こういうステートメントを出すということも伝えている」と語った。
選手らが発言することに関しては「選手が意見を言うのは健全だと思っている」とした。
「ホーバス監督と会話は毎日しています」といい、「トム・ホーバスのカウンターパートを新しくおいた。何にストレスを感じてるかなどを細かく聞いている」と新たに指揮官のカウンターパートを置いたことを明かした。「彼も相当つらい思いはしてるようです。米国にいる奥様とも会話して少しでもストレスを軽減できるようにしている」とした。海外選手のカウンターパートについては「ある程度個人の裁量で決められる人間を起きたい」と話すにとどめた。
三屋氏は29日に日本協会の公式サイトを通じて、男子日本代表チームに関する声明を発表。「男子日本代表チームをめぐる一連の動きについて大変なご心配をおかけしております」と謝罪した上で、「当協会としましては引き続きホーバスHCと日本代表チームを全力でサポートして参ります」と続投することを明らかにしていた。
また、28日には日本代表の渡辺雄太(30=千葉J)も一連の騒動に関して言及。八村とホーバス監督の関係性について「よくなかった」と認めた。「塁と対立をする気はない」とし、指揮官について「日本代表の監督として誰よりもふさわしいと思う。トムが(身を)引くようなことがあれば日本代表は崩壊していく」と危機感をあらわにした。約16分間にわたり熱弁し、騒動収束への強い意志を示した。