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大山よ、令和のミスタータイガースになれ―― 阪神新OB会長・掛布氏が指名 残留決断主砲にエール

スポニチアネックス 2024年12月1日 5時17分

 阪神のOB会総会が30日、大阪市内のホテルで開かれ、掛布雅之氏(69)が全会一致で第8代OB会長に正式就任することが決定した。新会長は早速、国内フリーエージェント(FA)権行使の末に残留を表明した大山悠輔内野手(29)に「4番として全試合に出て数字で引っ張れ」とエール。来年25年は球団創設90周年。ミスタータイガースの後継者に指名された和製大砲が覇権奪回へのけん引役を託された。

 新OB会長としての第一声が、栄光の4番から今の4番へのエールとなった。第8代の阪神OB会長に就任した掛布氏が、大山のFA残留という決断を強く支持するとともに、悩んだ決断が新たな「ミスター」誕生につながることを期待した。

 「残留を知って大変うれしかった。大山も悩んだと思うけど、いい答えを出してくれたと思う。来年は球団90周年。4番としてすべてのゲームに出て、数字で引っ張ることを期待している」

 会長就任にタイミングを合わせるように、大山は前日11月29日、残留を表明した。新旧4番に共通する部分は多い。掛布氏は入団テストを経て、ドラフト6位で入団。大山も1位ながら入団時の期待値は高くはなかった。さらに、大山は茨城、掛布氏は千葉と関東出身。打てないと矢面に立たされた苦い経験も同じように味わっている。だからこそ、今回の決断もしっかりと受け止めた。

 「熱烈なファンの思い、新監督の思い、チームメートの思い、球団の誠意が大山にタテジマの決断をさせたと思う。時代は違うし、彼がどういう答えを出しても尊重するつもりだったが、来年は大山の集大成のシーズンになることを期待している」

 現役時代は「ミスタータイガース」と呼ばれ、85年は4番打者として球団初となる日本一に貢献した。その称号は現在のところ掛布氏が最後。後継者に近い存在の一人が球団2度目の日本一を果たした昨季は全試合で4番に座った大山だ。

 「大山の経験が森下、佐藤輝を生かす形になってほしい。藤川監督を中心にして、いい戦いをして優勝する。これしかない」

 OB会を挙げてチームをバックアップすることも約束した。注文も期待も4番の重圧と責任を知っているからこそ。「彼のことだから、もう来年に向けた準備をスタートしているはず」。FA騒動終了から次のステップに向かっていると確信していた。(鈴木 光)

 ◇掛布 雅之(かけふ・まさゆき)1955年(昭30)5月9日生まれ、千葉県出身の69歳。習志野から73年ドラフト6位で阪神入団。強打の三塁手として本塁打王3度、打点王1度、最多出塁2度。85年にはバース、岡田とのクリーンアップで日本一に輝いた。88年現役引退。通算1625試合、打率.292、1656安打、349本塁打、1019打点。引退後は評論家、タレントとして活動。13年オフから特別職で古巣・阪神の若手育成に尽力。16、17年には2軍監督を務めた。

 ◇阪神タイガースOB会 結成は1972年(昭47)3月12日。甲子園球場内のサロン「蔦」で発会式を開いた。阪神球団史『昭和のあゆみ』によると、発案者は阪神初代監督の森茂雄氏(当時大洋球団代表)で「巨人にあって阪神にないというのは残念だ」とOBを寄せ集めたという。阪神在籍者はすべて会員資格があるが入会は本人の自由意思。現場への圧力団体との誤解を避けるため、親睦組織としている。初代会長はチームの初代主将を務めた松木謙治郎氏で、掛布雅之氏は8代目。

 ≪副会長に桧山氏&峯本氏≫

 ◯…掛布新会長を選出した阪神OB会総会では、副会長に桧山進次郎氏(55)、峯本達雄氏(71)を選出した。掛布会長はOB会としての今後の活動について「野球の底辺拡大のため、こどもたちへの野球教室にも取り組みたい」と抱負を語った。また、11年から14年間務めた前会長の川藤幸三氏(75)は「これまで通り球場にも行くし、来年2月の沖縄キャンプにも行く」とこれまで通り身近でタイガースを見守っていくことを約束した。

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