◇ボクシング全日本選手権最終日(2024年12月1日 東京・ひがしんアリーナ)
各階級の決勝が行われ、男子ライトミドル級では39歳の星大二郎(和歌山県庁)が0―5の判定負け(27-30×4、26-30)を喫し、17年ぶりの優勝まであと一歩届かなかった。
涙が止まらなかった。22年の大会覇者・田中廉人(自衛隊)との打ち合いに敗れて完敗。「楽しかった。ここ(決勝)まできたら上出来」とすがすがしい表情で振り返りながら「アマチュアボクシングを続けたいと言ってくれる子が増えた。僕がやってきた甲斐があったのかな」と次第にこみ上げる思いをこらえられなくなった。
05年から全日本3連覇を成し遂げ、東農大在学中には北京五輪代表候補にもなった39歳。元WBA世界ミドル級スーパー王者で12年ロンドン五輪金メダリストの村田諒太氏、同銅メダリストの清水聡(大橋)らと同期生。「(プロでの)村田や清水の活躍を見てうらやましいと思うこともあった。ただ僕はこの生き方で証明していきたかったし、アマチュアボクシングが大好き」。39歳となった現在も週3日、仕事後に約1時間の練習を続け、昨年競技復帰。前夜は連戦の影響から全身筋肉痛で寝つけなかったことを明かしながら「何か与えることができたのかな」と後輩たちに勇姿を届けた、自らに合格点を与えた。
この日は同世代の清水や、プロボクシング帝拳ジムでトレーナーを務める、一学年上の粟生隆寛氏が応援に駆けつけた。また東農大時代の後輩で元4階級制覇王者・井岡一翔(35=志成)にも来場を呼びかけた。大みそかに世界戦も控えていることから、かなわなかったが「先輩の生きざまを見ておくので、僕の生きざまも見届けてください」とLINEが届いた。「勝ってバトンつなぎたかったんですけどね」と残念がったが、大会中は試合前にも関わらず、多くの後輩らと会話を重ねるなど、大会を盛り上げようと奔走した。
来年の10月で40歳。参加資格が得られる最終年となる。「来年は有終の美を飾れるように明日から40歳に向けてトレーニングを続けたい。(ダウン宣告の)カウントはまだ聞いた事がないので来年は何級でいこうかな。カウントを聞いてから引退しようと思う」と“星節”を響かせながら「泣いたのはなしでお願いします…泣くほど練習していないし」と最後は笑顔で締めくくった。