◇関東大学ラグビー対抗戦Aグループ 早大27―24明大(2024年12月1日 東京・国立競技場)
対抗戦Aグループで首位の早大が明大を27―24で下し、6季ぶり24度目の優勝を果たした。全勝で頂点に立つのは、五郎丸歩らを擁した07年以来17季ぶり。100回目の節目を迎えた伝統の「早明戦」は大接戦となり、国立競技場に詰めかけた4万544人の大観衆を沸かせた。通算対戦成績は早大の56勝42敗2分け。両校のプライドを懸けた熱い戦いが新たな歴史を刻んだ。
まさに100回の記念にふさわしい激闘だった。両校の意地と意地がぶつかり合い、トライを取っては取られての大接戦。最後は早大が明大の猛攻を体を張ってしのぎきった。優勝が決まると、フッカー佐藤主将は「今までの先輩たちの顔がフラッシュバックしてきた。成長させてもらったなと」と歓喜の涙を流した。
佐藤は「大舞台の方が燃える」という強心臓の持ち主。2トライに加えて、後半21分にはキックでFB矢崎の勝ち越しトライも演出した。4万人超の大観衆の声援を力に変え、試合終了間際も「1トライで(相手が)逆転の状況はヒヤヒヤしたけどめちゃめちゃ楽しかった」と重圧には感じなかった。
日本代表の矢崎や元高校日本代表メンバーがそろっているチームだが、自らは「明大のようなスーパースター軍団ではない」と謙遜する。大田尾竜彦監督(42)によると、その言葉の真意は「個々の力よりもチームの力。全員で勝とうという意志の表れ」だという。試合前に部員たちからもらった寄せ書きには「(佐藤)健次さんが主将で本当によかった」と書かれていた。「全部員の思いを背負っているんだな」。仲間を思う気持ちが原動力になった。
昨季は大学選手権準々決勝で京産大に大量65失点して終了した。就任4季目の大田尾監督は、新チーム始動前に全部員を対象とした無記名アンケートを実施した。「言われたことをやっているだけで自分たちのチームではない感じがする」という自身の指導法への不満の声もあった。その意見に「ハッとさせられた」と意識改革し、レギュラー当落線上の選手になぜ落ちたかを励ましながら伝えるなど対話の機会を増やした。その結果、チーム全体の主体性が向上。信頼の厚い佐藤が主将としてまとめ、王座奪還を目指すチームの土台ができた。
佐藤は「対抗戦優勝もうれしいけど、大学選手権で優勝しないと満足できない」ときっぱり言った。最終目標は5季ぶりに日本一を獲って「荒ぶる」を歌うこと。100回目の早明戦を勝利で飾り、次のステージでも新たな歴史をつくる。