年末恒例の「2024ユーキャン新語・流行語大賞」(現代用語の基礎知識選)が2日に発表され、俳優の阿部サダヲ(54)主演で今年1月期に旋風を巻き起こしたTBS金曜ドラマ「不適切にもほどがある!」(金曜後10・00)の略称「ふてほど」が年間大賞に選ばれた。今年のドラマ界を席巻した「ふてほど」とは、どんなドラマだったのか。
「ふてほど」は宮藤氏がオリジナル脚本を手掛けたヒューマンコメディー。主人公は1986年(昭和61年)から2024年(令和6年)にタイムスリップしてしまった“昭和のダメおやじ”体育教師の小川市郎(阿部サダヲ)。彼の“不適切”な言動がコンプライアンスで縛られた令和の人々に考えるヒントを与えた。
毎回、昭和と令和のギャップなどを小ネタにして爆笑を誘いながら、「多様性」「働き方改革」「セクハラ」「既読スルー」「ルッキズム」「不倫」「分類」、そして最終回は「寛容」と社会的なテーマをミュージカルシーンに昇華。コンプラ社会に押し付けがましくなく一石を投じる宮藤氏の意欲的な筆が冴え渡り、SNS上で大反響を呼んだ。
宮藤氏が同作を構想したのは、放送開始から約1年前のこと。「現代は、いろんなことが“ダメ”って言われるようになったじゃないですか。“これはダメ、ああしちゃダメ”って。でも、なぜダメなのかを考えなくなってきている」と、ダメダメと制限ばかりの現代への疑問が背景にあったと、制作発表記者会見の際に明かしている。
その中で「産後の働き方問題」「既読スルーへの疑問」など、現代に刺さる問題を、解像度を高く綿密に描いた。これらのテーマは、磯山氏と宮藤氏の日々の会話の中から生まれたという。磯山氏は放送当時、スポニチアネックスの取材に対し「宮藤さんとの打ち合わせの合間や前後に話す、ちょっとした雑談や、モヤモヤしたことなどを言い合っている中によく出てきたことを、順番に取り上げている」と告白。「昭和も令和も、どちらもさまざまな問題があるけど、世の中は少しずつ良くなっているはず。またさらに30年後とか、今後さらに良くしていくためにはどうしたらいいか…と考えるようにしています」と、願いを込めていた。
そんな「ふてほど」はギャラクシー賞をはじめ、ザテレビジョンドラマアカデミー賞や放送文化基金賞、ATP賞テレビグランプリなど数多くの賞を受賞。 10月28日に発表された「東京ドラマアウォード2024」で作品賞(連続ドラマ部門)優秀賞、脚本賞(宮藤官九郎氏)、演出賞(金子文紀監督)、主題歌賞(Creepy Nuts「二度寝」)を受賞し、17冠の表彰ラッシュで話題となった。