男子テニス元世界ランキング3位で09年全米オープン覇者のフアンマルティン・デルポトロ(36=アルゼンチン)が1日、ブエノスアイレスで引退試合を行った。元世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチ(37=セルビア)とのエキシビションマッチで、シングルスの第1セットは6-4、90年全米オープン女子シングルス優勝のガブリエラ・サバティーニさん(54=アルゼンチン)と一部ダブルスを組んだ第2セットは7-5で勝利。母国のファンに“最後の雄姿”を披露した。
ジョコビッチには12年ロンドン、16年リオデジャネイロの五輪2大会ではともに勝ったものの、過去の対戦成績は4勝16敗。自身の前に立ちはだかってきた宿敵とのラストマッチを終えると、デルポトロはネット越しに約15秒もジョコビッチと抱き合った。スタンディングオベーションの中で感極まり、リストバンドを観客席へ放り込むと、最後はトレードマークだったヘッドバンドをネットにかけて涙のキス。ジョコビッチも目を潤ませながら拍手を送り、両手を振って会場を盛り上げた。
1メートル98と長身でパワフルなフォアハンドを武器としたデルポトロは、ジョコビッチら「BIG4」の全盛期にATPツアー通算22勝をマーク。ロンドン五輪で銅、リオデジャネイロ五輪では銀メダルを獲得し、16年の国別対抗デビスカップではアルゼンチンを初優勝に導いた。一方で手首や膝のケガに悩まされ、19年からは右膝の手術を何度も経験。22年からは公式戦に出場していなかった。
デルポトロは先月、自身のSNSに投稿した動画で、手術と治療の間に100回以上も注射を打ったと明かし「体が許さないので、もうプレーできる望みはない。最初の手術から今日まで、痛みを感じずに階段を上れたことはない」などと苦闘の日々を明かした。ジョコビッチとの引退試合には「できる限り最高の状態で臨みたい。これが最後の試合。ジョコビッチが親切にも受けてくれた。1時間か2時間3時間か、テニスコートで幸せな時間を過ごせるなら素晴らしこと」と語っていた。ジョコビッチは「僕らはスポーツの最高のステージで戦ったが、ライバル関係よりも友情の方が大きかった」とコメントした。