日本学園(東京)の硬式野球部は3日、ソフトバンクから育成ドラフト1位指名を受けた古川遼投手(18)が11月16日に入団辞退の申し入れをしていたことを発表した。不安などから入団する決心がつかず、大学進学に向けて準備しているという。球団では33年ぶりの入団辞退となったが、永井智浩編成育成本部長(49)は将来性豊かな大型右腕を今後も追いかける熱意を明かした。
ソフトバンクの永井編成育成部長は「背も高いし、それこそマスクもいいし、頑張ったら凄い投手になるのではないかなと」と残念がった。高い将来性を期待して育成1位で指名した古川の入団辞退。1メートル90の長身から最速144キロの直球を投げ下ろし、“ダルビッシュ2世”と評価していた右腕から11月16日に申し入れがあったと明かした。
球団は本人の意向を確認した上で育成ドラフトで指名。指名あいさつでは「ぜひ、うちでとアプローチした」(同本部長)。7~9日には福岡県筑後市のファーム施設でメディカルチェックや施設の見学などを行ったが、「(支配下ではなく)どうしても悔しさだったり、気持ちの整理がつかなかったのでは。4年間大学で鍛えて上位指名でいきたい気持ちが強かったのかな」と入団への迷いを感じ取っていたという。
日本学園は発表の中で、ドラフト直後から古川の気持ちに揺れが生じていたと経緯を説明した。「本人は不安な気持ちや悔しい気持ちなど、さまざまな悩み、葛藤を抱えておりました」。両親らと相談を重ねて、入団辞退を決断。「4年後に必ずソフトバンクホークス様や、他の球団に上位指名をしていただけるような選手に」と大学進学の意向を明らかにした。
ドラフト指名選手の入団辞退は、球団ではダイエー時代の1991年4位の三井浩二投手(足寄)以来、33年ぶり。また、育成ドラフト指名選手の辞退は同制度が導入された2010年以降初めてとなった。球団は昨年から球界唯一の4軍制を導入し、今秋のドラフトでは育成13選手(支配下6選手)を指名した。今回の入団辞退を受けての補強は行わない方向で、9日には古川抜きで新入団選手発表が行われる。
今回は入団合意に至らなかったが、素材抜群な古川の新たなステージでの成長をチェックしていく方針。永井本部長は「引き続き4年後に向けて追っかけます」と話した。 (井上 満夫)
◇古川 遼(ふるかわ・りょう)2006年(平18)5月6日生まれ、東京都出身の18歳。小3で野球を始め、中学は江戸川東シニアでプレー。日本学園では1年夏からベンチ入りし、3年春から背番号1。今夏は西東京大会16強で敗れたが、優勝した早実を相手に5者連続三振を記録した。1メートル90、80キロ。右投げ右打ち。
○…球界全体でのドラフト指名選手の入団辞退は、16年に日本ハムからドラフト6位指名を受けた山口裕次郎投手(履正社)以来。育成ドラフトでは、14年に中日から1位指名を受けた佐藤雄偉知投手(東海大相模)以来となった。