DeNAを戦力外となり、阪神入りした楠本泰史外野手(29)が3日、兵庫県西宮市内の球団事務所で入団会見し、実は熱烈虎党であったことを明かした。
「小さい頃から何度も甲子園球場に足を運びましたし、本当に大好きな球団なので(入団が決まり)本当に心の底からうれしい」
同僚だった伊藤光からプレゼントされた黄色のネクタイを締め臨んだ会見で開口一番、幼少期から甲子園に通う「虎党」だったことを告白した。小学校低学年まで出身地の大阪で過ごし、父の影響で「メガホン持ってユニホーム着て」聖地に通った。金本知憲の本塁打に心奪われ、赤星憲広の俊足に胸を躍らせた。85年以来のリーグ優勝決定日となった03年9月15日広島戦も、聖地の左翼席で声を枯らし赤星のサヨナラ打に歓喜したという。
図らずも、憧れだったタテジマのユニホームに袖を通し、甲子園を本拠地とすることが決まった。今後は猛虎の勝利のため全力を尽くすのみ。“東撃ち”でV奪回に貢献することを宣言した。
「やっぱり一緒の年に入った東は学生の頃から仲良くやっていたので、ぜひ打ってやりたいと思います」
虎にとって東は難攻不落。今季は対戦防御率こそ3・55も、2勝(1敗)を献上した。リーグ優勝した昨季に至っては同0・78で2勝され、計23イニングで2点しか奪えなかった。そんな相手の左腕エースを知り尽くす楠本の存在は、心強い。
年俸1800万円、背番号55に決定。今季DeNAが日本一も、蚊帳の外に甘んじた男は「タイガースでそういう経験ができるように。バッティングで勝負したい」とうなずいた。(遠藤 礼)
◇楠本 泰史(くすもと・たいし)1995年(平7)7月7日生まれ、大阪府出身の29歳。花咲徳栄(埼玉)では3年春の選抜出場。東北福祉大では大学日本代表の4番を務める。17年ドラフト8位でDeNA入団。2年目の19年6月9日西武戦でプロ初本塁打を代打逆転満塁弾で記録。21年は51度、23年は65度でチーム最多の代打起用。1メートル80、85キロ。右投げ左打ち。