WBO世界バンタム級王者の武居が5日、2度目の防衛戦に向け横浜市内の所属ジムで練習を公開した。かねて対戦を熱望する同じキックボクシング出身でWBOアジア・パシフィック同級王者の那須川天心(26=帝拳)とは次戦にも対決を望んでいたことを明かしながら実現せず、この日も好戦的な言葉で挑発した。次戦では神童を振り向かせる豪快な世界戦初のKO勝利を約束した。
2戦連続判定続きの武居が見据えるのは、世界戦初のKO勝利。もちろんあの男を振り向かせるためだ。相手を沈める一撃を思い描くように、シャドーボクシングで力強い動きを披露すると「判定勝ちには納得していない。自分自身倒すことに飢えている。今回こそはバチッと倒して勝つ」と闘志をたぎらせた。
武居を熱くさせるのは同じキック出身の那須川の存在。早期対戦を目指し、これまで何度もラブコールを送り続けてきたが、10月に地域タイトルを獲得したばかりの神童からは「そこはあまり急がなくてもいいじゃないか」と待ったをかけられた。これに対し「何となく振られたんだろうな、という感じ。ちょっとがっかり」とポツリとこぼした。
那須川陣営は世界初挑戦を来秋に設定しており、それまで武居は防衛を重ねてベルトを守り続ける必要がある。「もちろん待つのもいいが」と前置きすると「じゃあ、お前、もう一本(ベルト)持ってこいよ、という感じ」と挑発。統一戦プランまでぶち上げた。
そのためには、次戦での豪快なKO勝利が必須。挑戦者ユッタポンはアマチュア時代に2大会連続五輪金メダリストで前WBO世界フェザー級王者ロベイシ・ラミレス(キューバ)にも勝利した経験もあり、ここまで無敗の難敵だが、武居はK―1時代も判定ながらタイ人相手に3戦3勝と相性は悪くない。
「ボクシングに転向したばかりの頃のように、1ラウンド目から倒しに行くスタイルを見せたい。チャンピオンらしく戦う」と、3戦ぶりのKO勝利で意中の相手を振り向かせる。
≪武居VS天心の挑発合戦≫
▼5月6日 武居が初挑戦で世界王座を獲得。「勝ち続ければいずれ彼の挑戦を受けることもあるかもしれない」と那須川を意識したコメント。
▼5月31日 那須川が新王者となった武居らバンタム級の王者へ「全員意識している。(ベルトを)全部獲るつもり」。
▼9月3日 武居が比嘉に判定勝ちし、初防衛に成功すると「天心選手とやりたい気持ちが強い」と宣言。
▼10月14日 那須川が転向後初タイトルを獲得し「勝ちましたよ、武居くん」とアピール。一方で試合後は「トランキーロ(焦らないで)で」。
▼10月24日 武居がV2戦発表会見で「“もう少し待ってくれ”とのことですが、自分は“早くやろうぜ”という感じ」と早期対決を希望。
▼11月6日 那須川が都内のイベントで「必ずやりますので。ご安心ください」と対戦を約束。