◇JLPGA新人戦加賀電子カップ第2日(2024年12月5日 千葉・グレートアイランドC(6589ヤード、パー72))
5位から出た22歳の六車日那乃(日本ウェルネススポーツ大)が4バーディー、1ボギーの69で回り、通算5アンダーの4位と好位置を維持した。今季でツアーを撤退した上田桃子(38)と同じ辻村明志コーチ(49)に師事。目標の先輩が05年に制した大会を制し、“桃子2世”の第一歩を踏み出す。65をマークした荒木優奈(19=Sky)が通算11アンダーで単独首位に立った。大会は今年のプロテスト合格者25人が3日間54ホールで争う。
スタート前に六車は胸がドキドキした。前日フェアウエーキープ率50%だったティーショットが心配で。ところが1番ティーイングエリアに立つとひらめいた。「なんか力、入ってる」。上体のリラックスを意識し、この日のフェアウエーキープ率は100%で今大会初の60台をマーク。そんな修正力も22歳の成長の証だ。
「不安なくドライバーショットが打てた。フェアウエーにいる回数が多くて、凄く回りやすかった」
埼玉出身で同学年の岩井明愛、千怜とはジュニア時代から腕を競い合った仲。小、中、高と全世代の大会で優勝を飾ってきた実績を持つ。しかし、プロテストで試練を迎えた。その壁にはね返されること4度。それでもくじけることなく、5度目の挑戦で合格を果たした苦労人でもある。
念願の合格直後、報告の電話で「ほんとによかったね!」と喜んでくれたのが“姉弟子”で目標とする上田だった。くしくもその週に、上田がツアー撤退を発表した。練習、合宿でともに腕を磨き、助言をもらった機会は数知れない。「自分が成長できたのは辻村コーチのおかげであり、もう半分は上田さんから学んだこと」。感謝を胸に、プロとしての一歩を踏み出した。
先月末のファイナルQTでは66位に沈み、来季前半戦出場切符には届かなかった。悔しさはあるけれど、今は前を向いている。「つまずいてしまった分、その気持ちをぶつけていきたい試合」。ルーキーNo・1を決める大会で、歴代覇者の中には上田の名が刻まれている。もちろん、首位との6打差を諦めるつもりはない。
◇六車 日那乃(むぐるま・ひなの)2002年(平14)4月23日生まれ、埼玉県出身の22歳。父の影響で8歳からゴルフを始め、20年にはJGAナショナルチームのメンバーに選ばれる。千葉・麗沢高を経て日本ウェルネススポーツ大。得意クラブはパターで1Wの平均飛距離は230ヤード。目標とするプロは上田桃子。自己PRは「話すのがゆっくり」。1メートル54、52キロ。