◇柔道グランドスラム東京大会第1日(2024年12月7日 東京体育館)
男女計7階級が行われ、男子60キロ級は今年5月の世界選手権で3位だった中村太樹(22=国士舘大)が優勝した。決勝ではパリ五輪銅メダルの永山竜樹(28=SBC湘南美容クリニック)を延長戦の末に撃破。28年ロサンゼルス五輪代表選考レースの最初の大会で、幸先の良いスタート。日本勢はこの日の全7階級で金、銀メダルを独占した。
パリ五輪でメダリストとなった永山との直接対決を制し、中村がロス五輪へののろしを上げた。決勝は得意の背負い投げで終始攻め続け、相手に攻め入る隙を与えない。最後までポイントを奪うことはできなかったが、延長1分24秒で相手に3つ目の指導が出て勝負あり。「ずっと目標にしてきたのでうれしい。攻め続けることができた」と大汗を拭った。
元々は寝技だけの選手だったが、攻め手を増やすために国士舘高時代に背負い投げを習得。決勝はさまざまな高さや間合いから打つことで、本来は高い攻撃力と多彩な技を持つ永山も守りに重きを置かざるを得なかった。高校時代の恩師・岩渕公一氏も「もう一つ、技を覚えればもっと良くなる」と太鼓判。4年後へ伸びしろも十分だ。
2年連続の世界選手権出場にも一歩前進したが、「おごることなくやっていく」と語った中村。永山、21年東京五輪王者の高藤直寿も虎視眈々(たんたん)と狙うロスへ、着実に前進していく。 (阿部 令)
≪20歳ホープ・田中龍雅初V≫男子73キロ級は、日本勢同士の決勝は田中龍雅(筑波大)が今年の世界選手権銀メダルの石原樹(JESグループ)を破り、グランドスラム初優勝。互いに投げ合う好勝負の末、最後は指導3による決着となったが、「直接対決で石原選手に勝たないと世界選手権や五輪に出られない。勝ててうれしい」と話した。男子日本代表の鈴木桂治監督も「投げ勘が強い」と称える20歳のホープ。兄で66キロ級3位の龍馬とともに「切磋琢磨(せっさたくま)していきたい」と話した。