来日中のカージナルスのラーズ・ヌートバー外野手(27)が7日、タイガースの前田健太投手(36)、カブスの今永昇太投手(31)とともに大阪府内で行われた野球体験イベントに参加した。前回23年WBCで侍ジャパンの一員で世界一奪還に貢献した男は連覇を狙う次回26年大会での代表入りを熱望。前回大会でともにメジャー組で日の丸に身をささげたドジャース・大谷翔平投手(30)と交わした「腕時計の約束」も守る。
トレードマークである柔和な表情が、一瞬、引き締まった。日本代表の1番打者として世界一奪還に貢献し、大谷と交わした固い約束は、心に刻まれている。ヌートバーは「また選んでいただけるチャンスがあれば勝ちに貢献できるように、また優勝できるように頑張っていきたい」と23年WBCに続き26年大会への参加を熱望した。
大谷の投打での活躍など、ファンの語り草となっている23年WBC。1番・中堅で全7試合に先発出場するなどプレーでも貢献したが、自身の「ペッパーミル」ポーズも社会現象となった。幼稚園児から小学4年生までの45人と交流を深めたイベント内でも、子供たちから本物の「こしょうひき」がどこで買えるか質問されたほど。WBC以降、侍ジャパンは外野手を固定できていないだけに、次回大会でもヌートバーの存在は大きくなりそうだ。
戦友の大谷との約束も守る。WBC後にチームを離れる際、大谷からグランドセイコーの高級腕時計を贈られた。次回WBCも侍ジャパンで出場しなければ没収という条件付き。大谷の「またいつか、一緒にできればうれしい」というメッセージが込められている。8月にはメジャー組の視察に訪れた井端監督と初対面。「本当に素晴らしい方。選んでいただいたら、勝ちに貢献できるように頑張りたい」と力を込める。
侍入りのためにも結果を残す。今季は左脇腹痛など2度のケガに悩まされ、109試合の出場で打率・244、12本塁打。今年を「ローラーコースター」と表現し「アップダウンが激しかった。思うようなプレーができなかった」と説明した。
ミズノ社のイベントなどへの参加のため来日中。WBC出場を機にさらに日本文化にもリスペクトを持つようになった。祖父の名前にちなんでミドルネームは「タツジ」で、この日も子供たちに「タッちゃんです」と自己紹介。質問コーナーでは憧れの選手に「イチロー」を挙げ、好物を「ヤキニク」と答えるなど、日々、日本語も上達している。
「来年、健康でいられるように今オフは頑張る。侍ジャパンに選んでいただけるように」。人生に大きな意味をもたらしてくれた侍ジャパン。1年3カ月後の26年3月に開催されるWBCを連覇するため、準備を進める。(神田 佑)
≪マエケン、今永も侍熱望≫前田、今永も26年大会出場を熱望した。前田は出場なら広島時代の13年以来13年ぶり。タイガースに移籍した今季は3勝7敗でメジャー移籍後最少の勝ち星だった36歳右腕は「年齢的に難しいかもしれないが、選んでもらえる投手でありたい」と見据えた。前回大会はDeNA所属だった今永は決勝の米国戦で先発し勝利投手に。今季はメジャー1年目で15勝を挙げたが「アメリカにいるからといって候補に挙がるわけではない。いつでもリストアップされる存在でいたい」と意気込んだ。