◇フィギュアスケートGPファイナル最終日(2024年12月7日 フランス・グルノーブル)
男子では、SP2位の鍵山優真(オリエンタルバイオ・中京大)がフリートップの188・29点をマークし、合計281・78点で準優勝を飾った。佐藤駿(エームサービス・明大)はフリー3位の184・54点を出し、合計270・82点で初の3位表彰台SP首位のイリア・マリニン(米国)がフリー2位の186・69点、合計292・12点で2連覇を達成した。
【岡崎真の目】鍵山の演技は全体的な流れも悪くなかったし、スピードも最後まで落ちなかった。4回転サルコーが2回転になってしまったのは、技術面よりもメンタル面が影響したのではないか。前日のSPで転倒しているので、何となく嫌なイメージがよぎったのかもしれない。
ただ、そのミスがその後の演技に影響することはなく、良質なジャンプを続けた。SPとの合計点では優勝したマリニンと10点以上の差がついたとはいえ、フリーでは鍵山が上回った。マリニンは4回転ジャンプを6種類すべて跳ぶが、今回3種類の鍵山はまだ他のジャンプも投入可能だし、珍しく取りこぼしたスピンもきちんとレベル4をそろえていけば、十分に世界王者に立ち向かえるポテンシャルがあることがわかった。
羽生や宇野が不在の今季、日本勢の中ではやはり鍵山が頭一つ抜きん出ている。次の全日本選手権は初めて「勝って当たり前」のプレッシャーがかかるだろうが、そういう中でしっかり勝っていかないと世界のトップには立てない。鍵山にとっては真価が問われる大事な一戦となりそうだ。(ISUテクニカルスペシャリスト、プロコーチ)