◇柔道グランドスラム東京大会最終日(2024年12月8日 東京体育館)
男女計7階級が行われ、男子90キロ級はパリ五輪銀メダルの村尾三四郎(24=JESグループ)が優勝した。今大会に出場した3人のパリ五輪日本代表では唯一の頂点。準決勝、決勝と世界王者を連破する出色の内容で、28年ロサンゼルス五輪へ再スタートを切った。日本勢は男子81キロ、100キロ超級、女子70キロ、78キロ、78キロ超級も制し、今大会は男子100キロ級を除く13階級の金メダルを獲得した。
今後の日本柔道界を背負って立つ気概にあふれた一日だった。2試合連続一本勝ちで準決勝に進んだ村尾は、準決勝で今年の世界選手権を制した田嶋と対戦。試合は延長5分超に及んだが隅返しで技ありを奪って破ると、決勝でも23年世界王者のマイスラゼを延長戦の末に撃破。激闘の五輪からわずか4カ月の復帰戦を制し、「五輪後から柔道と自分から逃げずに向き合い続けたことを評価したい」と実直に語った。
パリの決勝は先に技ありを奪いながら、反撃に耐えられずにベカウリ(ジョージア)の連覇を許した。帰国後は映像分析で課題を洗い出すと、8月下旬には本格的な稽古を再開。柔道界きってのだて男には各種メディアからの出演依頼が殺到したが、「地道な作業に入り込みたかった」と断って柔道に集中。しっかり結果を残した。
男子日本代表の鈴木桂治監督からも「(戦いぶりは)盤石だった。一皮むけた」と高く評価された村尾。令和の三四郎が24年の有終の美を飾った。
≪女子塚田監督の“弟子”70キロ級本田&78キロ級池田がV≫女子は塚田真希新監督の東海大の教え子2人がシニアの国際大会初優勝を飾った。70キロ級は本田万結が日本勢同士の決勝を制して優勝。「前に出て足を出して攻める柔道は塚田監督に教わった」と感謝した。78キロ級は池田紅が得意の寝技を生かして頂点に。来年4月からは実業団のコマツに入社予定だが、「また代表で塚田先生と一緒にできる。一気に五輪まで突っ走りたい」と笑顔。同監督も教え子の活躍に「全日本でも切磋琢磨(せっさたくま)しようという言葉をかけている」と話した。