広島・森下暢仁投手(27)が11日、広島市南区の球団事務所で交渉し、3500万円増の年俸1億6500万円で契約を更改した。8月までに10勝を挙げながら、V争い佳境の同月下旬から9月にかけて6連敗を喫した今季。その反省を踏まえ、来季はキャリアハイの成績を残すべく先発陣の先頭に立つ意気込みを強調、自身初の開幕投手にも改めて意欲を示した。
球団提示額は年俸1億6500万円。ローテーション投手としての働きを評価され、前年から3500万円アップでも手放しでは喜べなかった。契約更改後の会見で森下は、中心選手としての矜持(きょうじ)と責任感をにじませた。
「最初は出遅れたけど、しっかり投げ続けたところを評価してもらった。ただ、9月の(チームの)失速を自分が食い止められなかった。そのせいでBクラスになったと思う」
5年目の今季は登板23試合で10勝10敗、防御率2・55。右肘の張りで開幕ローテーションを外れても、8月まで順調に10勝を積み重ね、防御率も1点台をキープした。だが、V争いが本格化する同月27日から6連敗。チームも4位に転落した。
「(成績に)誇れる数字はない。チームへの貢献度でも中途半端だったかな…と」
戦力差があっても8月まで首位を走ったチーム同様、夏場までの圧倒的な数字から森下への期待が高まっていた分、勝負どころでの急失速に落胆したファンは少なくない。同じ失敗は繰り返さない。今季の反省を踏まえ、改善点に言及した。
「変化球を含めて投球割合をしっかり考えたい。どういう配球をしたらいいのか。捕手に頼るだけじゃなく、自分でも考えたい」
3年ぶりに参加した10月の秋季練習から肉体改造に着手する。体幹を鍛え、体重5キロ増と筋肉量アップを目指してウエートトレーニングに汗を流す。会見の場では、こだわり条件を強調した上で、将来的に希望するメジャー挑戦にも触れた。
「目標というか、行きたい気持ちはあるけど、自分が入団してからBクラスが多く、優勝もできていない。来年、チームが優勝するために自分がもっと頑張らないと。原動力になれたら…と思う」
来季への強い決意がにじむ。先んじて名乗りを上げた床田、大瀬良に続き、森下も「その年のチームの顔だと思うので、そういう気持ちは常に持っておかないといけない」と開幕投手への意欲を隠さなかった。その上で言葉に力を込める。
「ローテーションを守るのは当たり前。先発で誰か1人でも突き抜けないと優勝は難しいと思うので、キャリアハイを目指し、先頭に立って頑張りたい」
その実力を疑う者はいない。求められるのはチームを優勝へ導く圧倒的な数字。森下の2025年に期待だ。(江尾 卓也)
○…森下が新春1月に、広島OBのタイガース・前田健太投手(36)の自主トレに参加すると明かした。後輩の遠藤とともに、メジャーリーガーから昨オフに続く2年連続での極意吸収。「去年はいろいろ話ができた。あまり長い期間ではないけど、今年も結構(登板)試合を見てくれていたので、また話が聞けたら」と話し、沖縄での再会を心待ちにした。