キャスター・辛坊治郎氏(68)が12日、ニッポン放送「辛坊治郎ズーム そこまで言うか!」(月~木曜後3・30)に生出演。和歌山県田辺市の資産家・野崎幸助さん(当時77)を殺害した罪に問われた元妻須藤早貴被告(28)に無罪判決が下されたことについてコメントした。
「紀州のドン・ファン」と呼ばれた野崎さんに対し、須藤被告は18年5月、何らかの方法で致死量の覚醒剤を飲ませて殺害したとして殺人罪などに問われていた。犯行を立証する直接証拠に乏しい中、検察側は須藤被告が薬物を購入したとする元売人の証言や、被告が死亡前後に「覚醒剤 死亡」「完全犯罪」などといった言葉をネット検索していたことなど、あらゆる状況証拠を積み重ねた。しかし、薬物の摂取方法などで十分な立証ができなかった。
一方で須藤被告は全面無罪を主張。ネット検索について「不気味な事件を調べることは好きだった」と、あくまで興味からの検索だったと主張した。検察側は無期懲役を求刑していたが、和歌山地裁はこの日の裁判員裁判で「野崎さんが初めて覚醒剤を使用し、誤って致死量を摂取した可能性がないとは言い切れない」とし、「完全犯罪」などの検索履歴を考慮しても殺害を計画していたと推認するには足りないとした。
辛坊氏は「この判決に関して一番知りたいけれども永久に出てこない話、評決結果ですよ。これを出さないのはどうなんだろうなと思う」と言及。裁判員裁判での評決に関するルールを説明し、「私が想像するに、裁判員がかなり主導した可能性はあるよなと思う」と続けた。
そして「日本の刑事裁判は、起訴するかどうかは検察官の腹ひとつ、検察官が起訴した場合に有罪になる確率は99・8%以上。余程のことがない限り検察官が起訴したものを裁判官は無罪にしないんですよ」と刑事裁判の有罪率に触れ、「今回の裁判はプロの裁判官だった場合には内心有罪きついかなと思っても有罪判決を出した可能性はそこそこ高いと思います」と私見を披露。
「ある意味裁判員裁判の効果が出てるという言い方をするのは、刑事司法の大原則に立つ、その立場からなら裁判員裁判の価値は出てるかな。刑事司法の大原則は疑わしきは被告人の利益にということに鑑みると、判決文全部読んでるわけじゃないけど今回の検察の有罪立証は粗っぽかったんじゃないのと(思う)」と続けた。
覚醒剤の入手経路、具体的な摂取方法に疑問が残ったことを挙げ、「一連の裁判の行方を見る限り、疑わしきは被告人の利益にという刑事司法の大原則に則った場合には、私もこれは無罪判決しかないなという感覚はありますね」と辛坊氏。「印象としては濃いグレー」としつつも「本人(野崎さん)が覚醒剤を手に入れて過剰摂取で亡くなった可能性がゼロかというと…」とし、「疑わしきは被告人の利益にという刑事司法の大原則からいうと、ある意味当然の無罪判決だろうな」と話していた。