オリックスは12日、九里亜蓮投手(33)と選手契約を締結することを発表した。今オフに広島から海外フリーエージェント(FA)権を行使。球団は獲得へ向けて水面下で交渉を続けていた。2年契約で出来高払いを含めた総額4億円超とみられ、背番号22に決定。来季、2年ぶりのリーグ優勝を狙う岸田オリックスが先発候補として期待を寄せる新戦力を射止めた。
実績十分の右腕の電撃獲得に成功した。獲得へ向けて水面下で交渉していた九里との選手契約締結が決まり、正式契約後に入団会見を開く予定。出来高払いも含め2年総額4億円超で、21年の最多勝利投手を迎え入れることになった。
「先発の層を厚くするという意味で。1年間、ローテを守るだけの力はあると思っている。イニングも食ってくれるし、ゲームメーク能力も高い。体の強さ、タフさもある」
福良淳一ゼネラルマネジャー(GM)が獲得に乗り出した理由を説明した。先発右腕が補強ポイントで、当初はソフトバンクから国内FA権を行使した石川にアタック。交渉解禁日の11月15日に岸田監督も出馬して初交渉した。ただ、結果的にロッテ入りした石川の獲得が厳しいと判断すると、同時に調査していた九里にかじを切った。
11年目で初の開幕投手を務めた九里は今季、7勝10敗で防御率3・21に終わったものの、21年に13勝を挙げて初タイトルを獲得。8年連続で100イニング以上投げているタフさと、通算71勝の経験は、宮城、山下、曽谷ら若手の多いオリックス先発陣にとって貴重な存在となる。11月12日に海外FA権行使を表明した際には「(年齢的に)最初で最後。背中を押してくれた球団に感謝したい」と話しており、熟考を重ねた末に国内移籍を決断した。
今季年俸は1億4000万円でBランクとみられる。28人のプロテクトリストの選定について福良GMは「これからの作業になる」とした。V奪回を目指す来季への大きな補強となった。(山添 晴治)
◇九里 亜蓮(くり・あれん)1991年(平3)9月1日生まれ、鳥取県出身の33歳。岡山理大付から亜大を経て13年ドラフト2位で広島入団。1年目の14年3月29日中日戦でプロ初登板初先発初勝利。16~18年にはリーグ3連覇に貢献した。21年に13勝で最多勝、23年に球宴初出場。1メートル88、97キロ、右投げ右打ち。