世界少年相撲大会「第15回白鵬杯」が来年2月11日に開催されることが13日、同大会実行委員会から発表された。元横綱・白鵬(宮城野親方)が、子供たちに相撲の楽しさを知ってもらい競技の普及拡大につなげたいという願いを込め、現役だった2010年から始めた同大会は今年で15年目を迎える。
宮城野親方は今年2月に発覚した元幕内・北青鵬による暴力事件の影響で部屋閉鎖の重い処分を受け、現在は伊勢ケ浜部屋の部屋付き親方として伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)の下で再教育を受けている。「今までの生き方を見直し、自分の過ちや驕りについて真摯に向き合いながら、反省と勉強の日々を送っています。白鵬杯についても今の私が続けていくことはふさわしくないのではないかとも考えました。その中で少年相撲チームの方々から届いたのが“白鵬杯は開催しますか?”“次の白鵬杯を目標に毎日稽古しています”という声でした。こんな私にも期待の声を届けてくれる人たちがいるんだと励まされ、胸が熱くなりました。また信頼する人生の先輩たちからは“大人の1年と違って、子供たちの1年はもう帰ってこない。開催を望む子供たちがいるのならば投げ出すことこそ無責任だ”と叱咤(しった)されました。また2027年から全国中学校体育大会の相撲競技が廃止されるという知らせも届き、子供たちが目指す舞台をこれ以上なくしてはならないと思いました。そして考え抜いた末に“白鵬杯を続けていきたい”と心に決めたのです」。宮城野親方は同大会の重要性を再認識し、例年通り開催することが決まった。
宮城野親方から相談を受けた伊勢ケ浜親方も、その熱い思いに賛同。「宮城野親方が伊勢ケ浜部屋の部屋付きになった縁もあり、師匠である私の責任の下で相撲協会にも了承を得た上での開催となります。私の故郷・青森のチームも毎年出場しているこの大会は、全国の相撲少年たちにとって今や大きな目標と聞いており、開催の継続は競技人口の底辺拡大のためにも大きな意義があると考えます。大会当日は私も宮城野親方とともに相撲少年たちに声援を送る予定です。来年2月11日に国技館でお会いしましょう」とコメントした。
伊勢ケ浜親方の現役時のしこ名を冠した「つがる旭富士ジュニアクラブ」は毎年この大会に出場している強豪チーム。のちに伊勢ケ浜部屋の弟子として幕内優勝を果たす尊富士もこの道場出身で、中学3年時には白鵬杯で個人戦3位に入ったという縁もある。九州場所で優勝した琴桜と大の里の両大関を始め、多くの関取を輩出している同大会。相撲の普及のために開催するべきという考えは、相撲界全体の願いでもある。宮城野親方は「私の思いを認めて開催へのお力添えをくださった伊勢ケ浜親方と御協賛者様、そして大会を認めていただいた日本相撲協会に感謝申し上げます。白鵬杯の主役は相撲に打ち込む子供たちです。皆さまからのご声援をよろしくお願い致します」とコメントした。
今大会は昨年同様、いまだ地震災害に苦しむ能登半島のチームへの支援や招待、戦禍の続くウクライナのチームの招待も継続する。また、宮城野親方が国技館の本土俵で自らまわしを締めて胸を出す幼児相撲教室も昨年に続いて行う予定。今大会の開催決定は、相撲に取り組む世界中の子供たちにとって大きな希望の光となる朗報だ。―「君たちは未来への宝だ」― 宮城野親方の思いが子供たちの夢を、そして相撲界の未来をつくっていく。