阪神の村上頌樹投手(26)が13日、兵庫県西宮市内の球団事務所で契約更改を行い、1300万円増の年俸8000万円でサインした。セ・リーグMVPに輝くなどキャリアハイのシーズンだった23年から今季は成績を落とした右腕は、空振りを取れる直球を取り戻すことを宣言。来季は“MVPボール”を復活させ、防御率1点台、160イニング、今季7勝11敗の勝ち負けをひっくり返す自己最多の11勝を目標に掲げた。
村上は逆襲に必要なものがはっきりと分かっていた。7勝11敗に終わった今季を顧みて、来季への課題に挙げたのは「空振りを取れる真っすぐ」を取り戻すこと。リーグMVPに輝くなどキャリアハイの昨季を支えた直球の復活を目指す。
「空振りを取れる真っすぐを投げたいと思っている」
今季は他球団のマークが厳しくなった面もあるが、直球の球威、キレに物足りなさを感じる場面が少なくなかった。「(空振りを)取れていたところがファウルになったりして粘られてが多かった」。実際、昨季は8・3%だった直球の空振り率は6・5%に低下。本人によれば持ち味である「真っスラ」の成分も低下していた。
すでに原因の分析も完了。一番は投球フォームにあり「ちょっと体の開きが早かったり、自分の思うタイミングで投げられていなかった。そこをすり合わせていけるように」。23年1月に自主トレをともにする青柳からの助言を受け、胸の開きを我慢して踏み出す左足を強く着地させて「間」を生むフォームに修正。一転、今季は「気持ちの部分で先走って体に出ていた」と大きく崩れた。
今オフはウエートトレーニングも取り入れて、体の可動域を広げるなど土台の再構築にすでに着手。「体をしっかり使えれば(23年の直球は)投げられる。そういうトレーニングをしていきたい」と手応えも口にした。
意図通りに空振りを奪えるかつての“MVPボール”を取り戻した先に見据える数字もある。「防御率1点台というのは目指してやっていきたいですし、こだわりたいのはイニング。160イニングぐらいしっかり投げられるように」。7勝11敗に終わった今季の勝敗も発奮材料。「やっぱりひっくり返したい。(10勝6敗で)昨年つくった貯金の分が今年借金になっているので」と自己最多の11勝にも意欲を見せた。
2年連続での規定投球回到達などを評価され、1300万円増で契約更改。評価に納得はしても、自身のパフォーマンスには改善の余地がたくさんある。苦しんだ1年を糧に、背番号41はさらなる高みを目指す。 (遠藤 礼)
○…村上(神)の今季被打率は・247でリーグ7位(規定以上)でトップだった昨季の・181からダウン。球種別では直球の・267(23年=・192)をはじめ、カットボールの・288(同・167)、ツーシームの・277(・186)が顕著で、ほかにカーブの・159(・118)、フォークの・185(・173)と全球種で数字を落としている。