奈良の山下真県知事(56)が14日、自身の公式X(旧ツイッター)を更新。奈良公園での開催が企画されている無料K-POPイベントに抗議の声が殺到していることについて、イベントの詳細を説明し、以前の一部発言を訂正した。
山下知事は「奈良県と韓国・忠清南道が計画しているK-POPを主体とした音楽交流イベントに対して引き続き賛否両論のご意見をいただいております。ありがとうございます。同時に県内の高校生、大学生らからは“行きたーい”“めっちゃ楽しみ”“奈良にもっと愛着を感じられる”といったリアルな声も私に届いています。親御さんからは“子どもが喜んでくれるなら費用がかかっても構わない”“山下さんはこれまでの県政の無駄をいっぱい削ってきたのにね”という声も」と自身に届いた県民の声を紹介した。
続いて「ネット上のご意見の中にいくつか誤解等もありますので、説明させていただきます」と投稿。「奈良公園の鹿への影響」については「コンサートは夕方から始まりますが、鹿は夜になると山の方に帰りますし、大きな音がするところには近付かないので、鹿の生態に影響を与えることはありません」と説明した。
「日本人を出演させるべきでは?」との疑問については「イベントにはK-POPを学んでいる日本の若者も出演します。また、奈良県では2012年から“ムジークフェストなら”という日本人が出演する音楽イベントを約1~2億円の費用をかけて毎年実施しています。こちらは人気があるので、私が知事になってからも続けています」とした。
「財源について」との指摘には「奈良県は以前にシルクロード博覧会というものを開催しており、その収益金を基金に積み立てています。この基金は国際交流等の目的にしか使えないため、これを取り崩して本イベントの資金にします。なので、財源には税金ではない事業収益金が主として当てられます」とした。
最後に「お詫びと訂正」とし「私の投稿に“お金のない日本の若者も”という表現がありましたが、日本の若者がお金がないという意味ではなく、“日本の若者も財布の中身を気にする必要なく”という意味ですので、誤解を与えた方にはお詫びして訂正します」と以前の投稿を訂正した。
奈良県は、韓国との友好を深める狙いで来年10月に「日韓国交正常化60周年及び奈良県と忠清南道の友好提携15周年を記念する音楽交流イベント」の開催を企画。朝日新聞の報道によると、約2億7000万円の事業費が示されたが、事業の妥当性に疑問の声が上がっているという。
この報道はネット上でも大きな反響が上がり、疑問視する声が相次いだ。山下知事は13日にも自身のXで「奈良県が来年10月に開催を予定している日韓国交正常化60周年及び奈良県と忠清南道の友好提携15周年を記念する音楽交流イベントに対し、様々なご意見を頂戴しておりますので、その背景事情を説明させていただきます」と書き出し、イベントへの見解を発表。「当初は、有料での開催を計画しましたが、国際的な友好親善という趣旨から無料の方が適切であり、その方がかえって多くの支援も得られるだろうということになりました」と、無料での実施を企画した意図も告白。「そして、忠清南道側がアーティストの派遣費用を負担し、奈良県側が会場設営や警備の費用を負担することになりました」とした。
費用について「億単位の費用はかかるものの、お金のない日本の若者も大好きなK-POPアーティストに生で接することができ、これから両国の親善を担っていく世代同士の交流を深められる。そうしたお金に代え難い価値が生み出されると判断しました」と主張。さらに「日本がロシアや北朝鮮と対峙していくうえで日米韓3国の協力は欠かせません。日韓両国の首相や大統領が誰になろうとも、日韓関係を良好に保つには、地方間や民間の交流は重要であり、両国政府もこれを後押ししています」と現在の国際問題にも言及し「663年の白村江の戦いから続く、奈良県と忠清南道の絆をさらに深めることはこの一環であり、高い安いという次元だけで考えるべきではありません。本県の本イベント開催の趣旨をご理解ただければ幸いです」と理解を求めた。
また費用対策については「なお、今後、企業等の協賛を確保したり、ボランティアを募ったりして、奈良県の負担する費用を少なくする努力はしていきます」としていた。