脚本家の大石静氏(73)と女優の吉高由里子(36)が3回目のタッグを組んだNHK大河ドラマ「光る君へ」(日曜後8・00)は15日、15分拡大で最終回(第48話)が放送され、完結した。「源氏物語」の作者・まひろ/紫式部と源倫子の“ラストバトル”、時の最高権力者・藤原道長の最期、そして、まひろの再びの旅立ち…。話題のシーンを振り返る。
<※以下、ネタバレ有>
「ふたりっ子」「セカンドバージン」「大恋愛~僕を忘れる君と」などの名作を生み続ける“ラブストーリーの名手”大石氏がオリジナル脚本を手掛けた大河ドラマ63作目。千年の時を超えるベストセラー「源氏物語」を紡いだ女流作家・紫式部の波乱の生涯を描く。大石氏は2006年「功名が辻」以来2回目の大河脚本。吉高は08年「篤姫」以来2回目の大河出演、初主演となった。
最終回は「物語の先に」。万寿4年(1027年)11月、藤原道長(柄本佑)の病は悪化。まひろ(吉高由里子)は源倫子(黒木華)に再び呼び出され、道長との面会を頼まれた。藤原道長(柄本佑)との関係を問いただされた。
道長「誰だ」
まひろ「まひろにございます」
道長「か、帰れ」
まひろ「お方様のお許しが出ましたゆえ、ご安心くださいませ。すべてお話ししました。お心の大きなお方であられます。道長様、お目にかかりとうございました」
道長「(左手で床を叩き、まひろが両手で握る)先に、逝くぞ」
まひろ「(涙があふれ)光る君が、死ぬ姿を描かなかったのは、幻が、いつまでも続いてほしいと願ったゆえでございます。私が知らないところで道長様がお亡くなりになってしまったら、私は、幻を追い続けて、狂っていたやもしれませぬ」
道長「晴明(ユースケ・サンタマリア)に、寿命を、10年やった。やらねばよかったぁ…。幾度も悔やんだ。いや、そうではない。俺の寿命は、ここまでなのだ」
夜になり、まひろは道長に水をやる。
道長「この世は、何も変わっていない。俺は一体何をやってきたのであろうか」。
まひろ「戦のない、泰平の世を守られました。見事なご治世でありました。それに『源氏の物語』は、あなた様なしでは生まれませんでした」
道長「もう、物語は書かんのか?」
まひろ「書いておりません」
道長「新しい物語があれば、それを楽しみに、生きられやもしれんな」
まひろ「では、今日から考えますゆえ、道長様は生きて、私の物語を世に広めてくださいませ」
道長「(笑い合い)おまえは、いつも俺に厳しいな」
倫子「そろそろ」
まひろ「明日また参ります」
道長「うん」
倫子「ご苦労さま」
その後、まひろは“褒美の扇”を広げ「三郎の物語」を語って聞かせた。
道長「雪か」
まひろ「お寒うございますか?」
道長「生きることは、もう、よい」
百舌彦(本多力)も廊下で聞いている。
まひろ「続きはまた明日」
倫子が部屋を訪れると、道長は息絶えている。投げ出された道長の左手を倫子が両手で握り、布団の中へ。「殿…」――。
まひろと三郎が鴨川のほとりで運命的な出会いを果たした貞元3年(978年)(初回、1月7月)から49年。“平安のソウルメイト”の絆は永遠のものとなった。SNS上には「『雲隠』本文欠落の理由をこうしたか」「『雲隠』の巻の前は『幻』…そういうことか!」「源氏の君の他界が『雲隠』として描かれてない史実をここで落とし込んでくるあたり、本当に恐ろしい大河大だよね(褒めてる)」などの声。反響を呼んだ。
「総集編」は12月29日に放送される。