女優の吉高由里子(36)が主演を務めるNHK大河ドラマ「光る君へ」(日曜後8・00)は15日、最終回「物語の先に」が放送された。当初は不安視の声もあった“平安大河”だが、史実と創作を巧みにミックスした作劇、余白や余韻のある演出、キャストの熱演をはじめ、音楽・美術も一体となり、視聴者を魅了。インターネット上には「光る君へロス」が広がった。主人公・まひろ(紫式部)役の吉高と藤原道長役の柄本佑(38)は、15日に滋賀県大津市で開催された「大河ドラマ『光る君へ』最終回パブリックビューイング&トークショーin大津」で、まひろと道長の最後のシーンについて語った。
<※以下、ネタバレ有>
「ふたりっ子」「セカンドバージン」「大恋愛~僕を忘れる君と」などの名作を生み続ける“ラブストーリーの名手”大石静氏がオリジナル脚本を手掛ける大河ドラマ63作目。千年の時を超えるベストセラー「源氏物語」を紡いだ女流作家・紫式部の波乱の生涯を描く。大石氏は2006年「功名が辻」以来2回目の大河脚本。吉高は08年「篤姫」以来2回目の大河出演、初主演となった。
最終回で病が悪化した道長の元をまひろが訪れた。道長が左手を差し出すと、まひろは手を握った。柄本は「台本にはまひろを探すような感じみたいなことが書いてあった」と台本のト書きを告白。「目が見えないからああやって手を弱々しく出している。やっぱり(まひろに)触れたかったんじゃないかなと思います」と道長に思いを馳せた。
まひろは瞳いっぱいに涙を浮かべながらも明るい声で道長に語りかける。柄本は「(チーフ演出の)中島(由貴)さんが、“とにかく泣くのを我慢して。声だけは悟られないようにしゃべって”と演出にこだわっていた」と明かした。
吉高は「“声は元気よく道長を鼓舞するような感じで励ますような声で。だけど顔はゆがんじゃうよね”って。言うのは簡単だけどやるのはこっちだからね!って」とこぼして笑いを誘った。続けて、「本当に大事にしすぎたシーンで他のシーンが駆け足になっていないか心配になっちゃうくらい2人のシーンが贔屓にされていた」と、キャスト、スタッフが一丸となって臨んだシーンであることを明かした。
柄本は道長の最期を「まだ客観的に見れていないんですけど、結局道長さんって最後のまひろとの別れのシーンは権力者ではなくシンプルな愛情の形ってことなんじゃないかな。あれをやっている時は不思議な感覚。そぎ落とされている感じ」と振り返った。
吉高は「私はあのシーンで印象的なセリフがある」として、「光る君が死ぬ姿を書かなかったのは、幻がいつまでも続いてほしいと願ったゆえでございます」のセリフを挙げた。「まひろの中では道長との物語はずっと続いていくんだろうなって感じたセリフだった。それを願っている。2人の物語はずっとずっと続いているから、まひろは最後も歩き続いていたんじゃないかなという感じです」と、まひろと道長の愛の物語への思いを語った。