広島・床田寛樹投手(29)が16日、広島市南区の球団事務所で契約交渉に臨み、5000万円増の年俸1億5000万円でサインした。2年連続でチームトップの11勝を挙げても、9月に失速した反省から「もっとできたと思う」と振り返る今季。「全てにおいてキャリアハイ」を目標に掲げる来季は、投手陣の中心となってリーグ制覇、日本一を勝ち取る意気込みだ。
大トリでの契約更改交渉。トップ評価こそ防御率1点台の大瀬良に譲ったものの「先発投手で2番目の評価」(井生崇光1軍管理課長)となる5000万円アップの提示に、床田は表情をかすかに緩めて喜びを表した。
「凄くいい評価をしてもらえたと思う。最初はもう少し粘ろうかと思ったけど、最後4連敗したので何も言えないな…と」
今季は2年連続でチームトップの11勝(9敗)を挙げ、防御率2・48。登板26試合のうち21試合でクオリティースタート(6回以上で自責点3以下)をマークする安定感がキラリと光った。投球回数も自己最多を更新する167回を投げた。
一方で9月、10月に入ると「負けられない試合が増え、“このランナーを還したら、先制点を取られたらヤバい”という気持ちが強くなった」。結果、登板5試合で0勝4敗。V争い佳境での失速が増額更改を手放しで喜べない理由だった。
「正直、もっとできたと思う。イニングももう少し投げられた。来年は勝負どころで頑張れるようにしたい」
現役引退した野村祐輔(3軍投手コーチ兼アナリストに就任)の「19」番を背負う来季に向け、11月にはいち早く開幕投手に名乗りを上げた。今オフは直球の平均球速を今季の143キロから、22年当時の145~6キロに上げるべく取り組む。
「(投球の割合が多い)ツーシーム、カットボールといった中間球待ちのチームが増えた。真っすぐで押し込み、空振りやファウルが取れれば、変化球も生きてくると思う」
2年連続2桁勝利を挙げても満足せず、ワンランク上を目指す旺盛な向上心。来春3月には30歳を迎え、胸中にはローテーション投手としての自覚と責任が刻まれる。
「負け数を減らし、全てにおいてキャリアハイを出せるように。今年は凄く悔しい思いをしたので、来季は優勝、日本一を勝ち取れるように。結果でチームを引っ張っていけるように頑張りたい」
年々進化する左腕。9年目となる来季、自身初の開幕投手を射止め、初のタイトルに輝く活躍に期待だ。 (江尾 卓也)