2024年もあと半月ほどで終わる。昨季までの2年連続最下位、5年連続Bクラスから2位まで躍進した日本ハムにとって、チームとして大きなターニングポイントの年になるだろう。12球団トップとなる32度の逆転勝ちを見せ、粘り強い“逆転の日本ハム”を印象付けた。
その中で個人的なベストゲームは、10月13日のクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第2戦のロッテ戦(エスコン)を選びたい。第1戦で敗れて迎えたこの試合も、1―2で9回を迎えたが、万波中正外野手(24)が起死回生の同点アーチ。延長10回に浅間大基外野手(28)がサヨナラ打を放って決着をつけた。どんな試合も冷静に見ることを心がけているが、この時ばかりは心にぐっとくるものがあった。
万波とは9月下旬ごろの取材の中で、過去のCSについての話題になった。「CSはファーストステージだと記憶に残っている試合があまりないかも」と話を振ると、万波も「(14年のCSで)中田翔さんが4戦連発したのとかは覚えてるんですけど、確かに他を思い出せと言われても、なかなか出てこないですね」とうなずいていた。そう話していた本人が、ファーストステージで強烈なインパクトを残してみせた。
パ・リーグTVの公式YouTubeチャンネルでアップされたこの同点弾の動画も、175万回再生を突破し、15日に行われたイベント「パテレアワード2024」では万波が“初代MVP”に輝いた。歴代のCSファーストステージの中でも名場面として、語り草になる予感がしている。(記者コラム・田中 健人)